2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26287073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大串 研也 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30455331)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポストペロブスカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
アンチポストペロブスカイト型クロム化合物の構造物性に関する研究を推進した。Cr3GaN-Cr3GeN固溶体およびCr3GeN-Cr3GeC固溶体を合成し、アンチ構造においてポストペロブスカイト相転移が起こることを実証した。元素置換により構造相転移を誘起することができるのは、本系においてアンチペロブスカイト構造とアンチポストペロブスカイト構造のエネルギー差が拮抗していることに起因している。粉末X線回折、DTA測定、DSC測定を通して、温度-組成平面における詳細な相図を作成した。その結果、①ポストペロブスカイト相転移が負の化学圧力で誘起されること、②立方晶ペロブスカイト-ポストペロブスカイトの中間領域に正方晶ペロブスカイトが存在すること、③正方晶ペロブスカイトの安定領域は高温で狭くなること、④その結果として高温では立方晶ペロブスカイトからポストペロブスカイトに直接転移が可能であること、などを明らかにした。トレランス因子に関する解析により、アンチ構造におけるポストペロブスカイト相転移は、イオン半径のミスマッチにより駆動されている可能性が高いことが判明した。これらに加えて、ペロブスカイト-ポストペロブスカイトの中間領域の低温側に、高温側の反転対称性の保たれた正方晶ペロブスカイトとは異なる、反転対称性の失われた正方晶ペロブスカイトが存在することも明らかにした。この構造は、立方晶ペロブスカイトからNCr6八面体を回転させることでは得られないため、その構造相転移の微視的機構に興味が持たれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、おおむね当初の計画通りに順調に進行している。ポストペロブスカイト型イリジウム酸化物の研究に関しては、海外のグループとの共同研究が進みつつある。また、アンチポストペロブスカイト型バナジウム化合物に関して複数の論文が出版されている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンチポストペロブスカイト型クロム化合物の構造物性に関する研究を継続して推進する。精密構造解析を進めることで、局所構造の変化という観点からアンチ構造におけるポストペロブスカイト相転移の機構解明を進める。さらに、アンチポストペロブスカイト型化合物の物質探索研究を推進する。アンチポストペロブスカイト構造は稠密な構造であるため、高圧合成法を用いた戦略的な物質探索が可能である。得られた試料に対して、電気的・磁気的・熱的物性を評価し、新奇な強相関電子物性の開拓を推進する。
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Research Products
(2 results)