2015 Fiscal Year Annual Research Report
Searching for the electron's EDM by using a radical molecule in para hydrogen crystal as a magnetic sensor
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26287089
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 東京工業大学, 理学院, 准教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 麻雄 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20322092)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子の電気双極子モーメント / パラ水素結晶 / ラジカル分子 / 分子配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「パラ水素結晶中のラジカル分子を磁気センサとする電子の電気双極子モーメントの探査」と題し、電子固有のeEDMの存在を実証するために、不対電子を有する極性ラジカル分子をp-H2結晶中に取り込み、eEDMのシュタルクエネルギーに起因する熱的状態分布数の変化を、検出しやすい別の物理量の変化として観測することを目標としている。HgHこの一連の実験過程の中で、極性分子の結晶内の配向を外部電場によって、特定の空間方向にそろえ、また、一気に反転させることが要求される。その上で、さらに分子内電子スピンの配向についても、外部磁場を使って同空間方向に沿って順方向と逆方向に反転させる必要がある。そのために平成27年度は主として、[1]パラ水素結晶に閉じこめた分子の配向制御に関する実験に取り組んだ。また、[2]配向度を直接モニターするための分光システムの開発にも着手した。 [1]については、HgHラジカル分子の電子状態が2重項シグマ状態の性質、および回転定数等の考察からeEDM測定に必要となる外部電場を10 kV/mmを、磁場を100ガウスと見積り、p-H2クライオ装置内の実装を前提とした電極とソレノイドを製作した。 一様な静電場を印可するためには平行平面電極の一方をメッシュとし、他方金属電極を結晶成長基板として、結晶成長のための吹きつけ法と共存出来るものとした。 一方、一様な静磁場を印可するために、1対の超伝導ソレノイドコイルで結晶を挿む。必要となる磁場発生を実現した。 [2]については昨年度準備した偏光子を組み込んだ高分解能フーリエ変換型赤外分光装置および赤外レーザーシステムを用いた偏光分光装置を製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パラ水素結晶作成装置内に組み込むことを前提とした電場と磁場発生装置の目途を立てた。 パラ水素結晶内に閉じこめた分子の配向を調べるための、分極分光システムを構築した。テスト用の測定対象分子として、永久双極子モーメントが大きい分子としてCH3Fを用いて実験を開始した。特にレーザーの直線偏光特性を使うことで、検出感度を大幅に向上させることができた。 また、レーザー分光の高分解能特性を用いて、従来のFTIR分光装置では観測されなかった新しい事実を発見し、パラ水素結晶の量子固体としての特徴としての知見を増やすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
パラ水素結晶の量子固体としての性質が、分子の配向制御に重要な影響を及ぼすことが予想されるため、レーザー分極分光法を始め、パラ水素結晶内に閉じこめた分子の高分解能分光情報から、内部量子状態の変換に関するダイナミクスの研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
パラ水素結晶に閉じこめた分子の制御に必要となるファイバーレーザーアンプのバーションアップの仕様を確定させるための、評価実験が年度を越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
レーザーの出力仕様を10Wから20Wに増強することが決まったので、バーションアップのための費用とする。
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Research Products
(3 results)