2015 Fiscal Year Annual Research Report
津波混濁流の発生条件と堆積機構:新しい混濁流発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
26287127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成瀬 元 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40362438)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 混濁流 / 津波 / 浮流砂 / 混合粒径 / 乱流抑制効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,津波起源混濁流の挙動を定量的に予測するため,水槽実験ならびに数値モデルの開発を中心に研究を行った.その結果,混濁流の数値モデルを構築するうえでは,(A)混合粒径の堆積物の取り扱いをどのようにするか,(B)浮流砂密度成層による乱流抑制効果をどのようにとりこむか,という2点が大きな課題であることが明らかになった.これまで,混合粒径の混濁流堆積物の堆積プロセスをモデル計算で取り扱う際に,既存研究は均一粒径を用いてえられた経験的堆積物連行関数をそのまま拡張して用いることが普通であった.しかしながら,混合粒径を用いた混濁流水槽実験の結果からは,そのような単純なやり方では現象を十分に表現できないことが明らかになった.したがって,本研究の課題を遂行するためには,混合粒径を当初から考慮した新しい堆積物連行関数を実験結果に基づいて構築することが急務である.また,混濁流による浮流砂の輸送プロセスを考慮するうえでは,浮流砂密度成層による乱流抑制効果をモデルに取り込むことが欠かせないことが前年からの研究で明らかになっている.今年度は乱流運動エネルギー保存則と干渉沈降を同時に取り込んだモデルを利用して,混濁流や津波の観測結果によく適合する計算結果を得ることに成功した. さらに,今年度は上記の成果を拡張し,混濁流のつくる地形の理論形状を解明した.これに加えて,混合粒径の津波堆積物の逆解析モデルの開発にも成功している.これらの成果は津波起源混濁流堆積物を地層中で認定し,そこから古水理条件を復元するための基礎となるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状で,当初の目標となっていた数値モデル開発と水槽実験はおおむね進行している.研究を遂行する過程でいくつかの困難が発見されたものの,それらの解決方法についてはほぼ目途が立っている状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,モデル開発を完成させ,水槽実験による検証を十分に行う予定である.さらに,タービダイトのフィールドワークに基づく調査を進め,実際の地層から津波起源混濁流の堆積物を認定することを目指す.
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Stratigraphic variations in lacustrine sediment gravity-flow deposits intercalated in varved diatomite: An example from the Hiruzenbara Formation, Okayama Prefecture, southwest Japan2015
Author(s)
Sasaki, H., Sasaki, Y., Saito-Kato, M., Naruse, H., Yumi, M., & Ishihara, Y.
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Journal Title
Quaternary International
Volume: 397
Pages: 208-222
DOI
Peer Reviewed
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