2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26288006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹腰 清乃理 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10206964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 泰斗 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00631384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嫌気性材料 / 雰囲気制御 / 固体高分解能NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
気体分子との関わりが重要な試料や酸素・水分を嫌う試料が実際に機能する環境でミクロな観点からの物性の基本原理の理解と材料の設計指針を得るための強力な手法として、気体の組成、分圧、温度などを制御しながら固体高分解能NMRを測定可能なシステムの開発を目指している。このシステムは固体高分解能NMRに必須な試料の高速回転を大気暴露せずにできる気密プローブヘッドと、試料回転に用いる気体を圧縮して気密プローブに送り込み回収できる気体循環系から成る。初年度はシステムの一部である固体高分解能NMRプローブの設計と、気体循環系で用いる制御シーケンサの開発に取り組んだ。 設計したプローブの使用は次のようになっている。気密プローブヘッドは試料を高速回転させるヘッド部分とNMR信号を授受する共振回路が組み込まれたボディ部分から構成される。ヘッド部分とボディ部分は分離でき、ヘッド部分は小型グローブボックスに入れて試料の出し入れができるようにした。ヘッド部分は圧力1 MPaまで耐えられるようにした。ヘッドには試料回転に用いるモジュールと、そこに気体を出入れするための銅管が短くつきだしている。その銅管にはストップバルブとVCRコネクタが取り付けられ、プローブヘッド内を大気暴露することなくプローブボディ部分と接続できる。プローブボディ部分には試料回転用気体のパイプとNMR共振回路を組み込み、プローブヘッド部分と接続することで、大気暴露することなく固体高分解能NMRが測定可能となるようにした。 気体循環系では、試料回転用気体の流量と圧力、温度を制御しなければならない。流量と圧力、温度は別々に制御できるようにスタンドアロンで作動する汎用制御シーケンサをPIDを用いて開発に取り組んでいるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で必須なマジック角回転モジュールの購入先であるアジレント・テクノロジー株式会社がNMR事業から撤退することを2014年10月14日に発表し実際に撤退した。それに伴う混乱によりマジック角回転モジュールの関連部品や試料管の入手が遅延または不確定になってしまった。バックアップ策として、他の会社の回転モジュールの検討などを行った。また、当初の予定では次年度に開発する予定であった気体循環系で用いる制御シーケンスに取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度末にようやく試料管の入手や破損時の対応などが確認され、購入したMASモジュールを組み込んだ気密プローブの製作を開始する。8月までに潮解性を有する試料を先ず静止状態で長時間測定し、気密性が確保されていることを実証する。次に気体循環系の組み立てを開始する。気体循環系は試料を高速回転させるためにプローブヘッドに圧縮した気体を送り込んで回収し、再び圧縮して送り込めることが求められる。そのために必要なダイヤフラムポンプやマスフローコントローラー、圧力レギュレーター等をスウェージロックで接続し、リークテストを行う。リークテストに合格すればプローブに接続し、まずは超高純度窒素ガスを用いて試料の高速回転と気密性を検証する。圧力・温度制御は来年度行う予定である。
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Causes of Carryover |
「現在までの達成度」で理由を述べたマジック角回転モジュール関連部品や試料管の入手の不確定化に伴い、それをシステムに組み入れるのに必要な消耗品などの手配も遅らせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.6 mmマジック角回転モジュール関連部品と試料管の供給は既に担保され、今年度前期には、必要な部品や消耗品などを手配し、MASモジュールを組み込んだ気密プローブの製作を開始する。
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