2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26288012
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北口 仁 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (60354304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
端 健二郎 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (00321795)
武田 和行 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (20379308)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NMR / 高温超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、NIMSで開発した液体窒素冷却マグネット(Bi-2223線材を用いた0.5テスラ級)を京大に設置し、動作確認を行った。減圧液体窒素中で0.5T迄の磁場を安定して発生出来ることを確認した。また、このマグネットを用いてNMR測定を行うためのプローブ(共振回路)及びNMR送受信機を設計・製作した。開発した装置を用いて磁場0.5テスラにおいてプロトンのNMR信号を検出することに成功した。さらに、磁場ドライブのための電流値を固定したまま同一のNMR測定を繰り返し行い、磁場の安定性をチェックした。電源駆動型であっても、その発生磁場は、水の1H NMRの共鳴線の位置に全く変化が見られない程度に安定していることが確認できた。 一方、1.5テスラ級マグネットについてコイル設計を進めた。高温超伝導テープ線材は臨界電流特性が磁場強度だけでなく磁場の方向に大きく依存し、テープ面に垂直な磁場成分が臨界電流を大きく低下させる。一方、コイル巻線したマグネットにおいては、コイル自身の作り出す磁場には線材テープ面に垂直な成分があり、これがマグネットとしての性能を制限することになる。設計検討において、コイル周りに磁性体を配置することで磁気回路を構成し、磁束線を磁性体側に引きつけることでコイル巻線内部において超伝導線材テープ面に垂直となるコイル径方向磁場成分を低減させることを検討した。コイル上下のフランジに磁性体である鉄を配置することで、コイル自身の発生する磁束線(コイル単体だけであればテープ面に垂直な方向に回り込む。)をコイル外部であるフランジに吸い寄せ、巻線部分でのコイル径方向磁場成分を低減させるという着想である。磁場解析を行ったところ、5mm厚鉄フランジを用いることで、コイル径方向磁場成分低下に十分な効果があることがわかり、これに基づいたコイルの詳細設計と基本部品製作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度中に、1)NMR計測については0.5テスラ級マグネットを用いて研究を進め成果概要に記した成果(プローブ及びNMR送受信機を設計・製作し、プロトンのNMR信号を検出することに成功)を得るとともに、2)1.5テスラ級コイル設計で鉄フランジを配することで磁場分布を調整する新たな工夫を盛り込み進めることが出来た。当初予定では1.5テスラ級マグネット(コイル)製作まで進める予定であったが、高温超伝導線材メーカー(フジクラ社)の製造工程改良のための一時的な市場供給停滞の時期と重なってしまい所定の線材の入手を年度内に完了することが出来なかったためコイル製作はH27年度となったが、前述1)、2)の成果を得ており、課題全体としての進捗は概ね順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には1.5テスラ級マグネットを完成させ、運転試験等を行うように計画しており、課題期間全体を通じての研究遂行には支障が生じないものと見込んでいる。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に1.5テスラ級マグネット(コイル)を製作予定であったが、高温超伝導線材メーカー(フジクラ社)の製造工程改良のための一時的な市場供給停滞の時期と重なってしまい線材の入手が出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.5テスラ級マグネットを平成27年度にコイル(或いは線材)として調達するために使用予定である。
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