2014 Fiscal Year Annual Research Report
半導体特性を指向したデザインされたイオンの配列制御
Project/Area Number |
26288042
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 薬学部, 教授 (80388115)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | π電子系 / イオン会合 / 分子集合化 / 半導体特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質における電子の挙動を制御し、それに起因する物性を発揮させることは、原子・分子レベルで要求される、半導体などのマテリアル開発の根幹的な方法論としてきわめて重要である。半導体材料の構成ユニットとして、電荷種(イオン)に着目し、「新規骨格を有するπ電子系イオンの合成」および「電荷的に中性なπ電子系分子と(無機)イオンの会合体形成」を基軸とし、バルク状態において電荷種の自在な配置を実現し、所望の半導体性組織構造の構築による新たな有機エレクトロニクスの開拓に挑戦した。電荷種間での相互作用の強さ・形態の制御によって、完全電荷種分離配置(同一の電荷種による積層)の実現を究極の目標とした、特異な半導体物性の発現、とくに電荷種間の静電反発の減少に起因する電荷キャリアの高密度充填などを試みた。 集合体の構成ユニットとして電子機能性負電荷種を導入するには、無機アニオンと高い会合能を有するπ電子系のアニオン会合体を擬似的な平面状アニオンとして利用することが効果的である。われわれはさまざまなイオン種の組み合わせからなる集合体の創製および集合体形態の検証に挑戦し(論文投稿準備中)、たとえば、対のカチオン種として、積層構造を形成する平面状構造を有するPt(II)錯体に注目し、π電子系アニオン会合体とのイオンペアが電荷種分離配置構造の寄与を有する集合体を与えることを放射光XRD測定によって見出した。このとき、集合体が中間相を発現し、ホールおよび電子に対して効果的な輸送能を有することをFI-TRMC法により明らかにした(Chem. Commun. 2014)。さらに平面状イオンペアを基盤とした超分子ポリマーの形成と高次組織化への展開も実現した(CEJ 2015)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アニオン応答性π電子系の修飾により、相反するイオン種間での完全分離配置による電荷充填型レイヤーなどの規則配列を実現できたため(論文投稿準備中)。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も継続してπ電子系イオンおよびその前駆体π電子系を設計・合成し、電子機能性の発現・制御へと展開することを目的とする。電子機能性として、同一電荷種からなる分離配置構造に起因する半導体物性を基軸とし、並行して外部電場を利用した異種電荷種間にはたらく分極に対する摂動による強誘電性の発現に挑戦する。
|
Causes of Carryover |
課題に必要な合成が当初の計画よりも少し遅れ、該当分を次年度で実施した方が課題全体として効果的であると判断したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由に基づいて次年度に変更した部品費の使用に充てる。
|
Research Products
(58 results)