2016 Fiscal Year Annual Research Report
半導体特性を指向したデザインされたイオンの配列制御
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26288042
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 生命科学部, 教授 (80388115)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | π電子系 / イオン会合 / 分子集合化 / 半導体物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造・電子的に適した電荷種(イオン)を設計・合成し、その間にはたらく相互作用を制御することによって、電荷的に中性なユニットからなる集合体を凌駕した物性を発現する電子機能マテリアルへの展開が可能になる(総説として有合化誌 2016, Chem. Commun. 2017)。本年度は、イオン会合能を有するπ電子系を合成し、そのイオン会合挙動および次元制御型集合体への展開を行った(Org. Biomol. Chem. 2016, Chem. Asian J. 2016)。とくに、独自に開発したアニオン応答性π電子系(ジピロリルジケトンホウ素錯体)に芳香環置換エチニル基を導入した系では、[2+1]型会合形態を協同的に形成することを見出し、溶液での会合挙動、結晶構造、ソフトマテリアルへの展開を実現した(Chem. Eur. J. 2016, J. Org. Chem. 2016, Chem. Eur. J. 2017)。また、アニオン応答性π電子系の構成ユニットであるピロール環に電子求引性置換基を導入することで、高い会合能を示すことを明らかにし(Chem. Commun. 2016)、ピロール2量体の適切な修飾によって、液晶中間相などの次元制御型集合体を与えることを見出した(Chem. Commun. 2016)。π電子系に連結した酸ユニットの脱プロトン化および分子内水素結合安定化による、非会合型π電子系アニオンの形成を報告し(Chem. Asian J. 2016)、また芳香族安定化されたπ電子系アニオンからなる集合体(結晶・液晶中間相)形成も明らかにした(Chem. Eur. J. 2016)。さらに、マクロサイクル内部に適切に置換基を導入した芳香族π電子系を新たに合成し、その構造決定およびキラル光学特性の発現を見出した(Org. Lett. 2016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アニオン応答性π電子系および非会合型π電子系アニオンを新たに開発し、多様な集合化形態の発現に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
継続してアニオン応答性π電子系および非会合型π電子系アニオンの設計・合成を行い、また新たなπ電子系カチオンの合成も組み込みつつ(論文投稿準備中)、形成されるイオンペア集合体(結晶や液晶材料)の電子物性(半導体物性・誘電特性)の評価を実施する。
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Causes of Carryover |
研究費執行における少額の調整分として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費の購入に充てる。
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Research Products
(95 results)