2014 Fiscal Year Annual Research Report
超分子相互作用を用いた温度応答性高分子システムの開発
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26288054
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐田 和己 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80225911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小門 憲太 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40600226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 相分離 / 高分子化学 / 温度応答性高分子 / 水素結合 / 電荷移動錯体 / LCST |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子/低分子(エフェクター)/溶媒の多成分系において、高分子とエフェクター分子間の超分子相互作用を利用した温度応答性高分子の分子設計の一般化とその機構解明を検討した。特にπ-π相互作用、配位結合、水素結合など多様な分子間相互作用を用い、さらに様々な媒質中で機能する温度応答性高分子や化学反応に応答するシステムの構築、ならびに光学活性なエフェクターを用いた光学活性な低分子に応答し、凝集・コンフォメーション変化を誘起する系に関して研究を進めている。 弱い分子間相互作用として、パーフルオロ化した芳香環をもつ高分子と通常の芳香環をもつエフェクターについて検討したが、LCST型相分離は実現せず、高分子とエフェクターの相互作用が弱すぎるためと思われる。高分子鎖の柔軟性と相互作用部位の協同性の評価としては、ポリビニルエーテル系およびメタクリル系高分子の合成を進めている。また、フッ素系溶媒に親和性の高いパーフルオロアルキル基をもつ尿素官能基をもつ高分子およびエフェクターの合成を進めている。また、尿素官能基を持つ高分子の分子認識部位の近傍に光学活性部位を導入し、キラルな化合物をエフェクターとして加えることで高分子の相分離を誘起することに成功したが、エフェクターの光学活性と高分子の光学活性部位のキラリティとの相関については、明確になっておらず、詳細の検討が必要となっている。また、化学反応については尿素官能基を持つ高分子の水素結合を利用し、ヘキサノールをエフェクターとする系において、エフェクターのTMSCNによるシリルエーテル化反応によって高分子のコンフォメーション変化が達成できた。つまり高分子の相分離を化学反応に誘起するシステムの構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子/低分子(エフェクター)/溶媒の多成分系において、高分子とエフェクター分子間の超分子相互作用を利用した温度応答性高分子の分子設計の一般化とその応用に向けて多方面に渡って研究が進行しており、化学反応に応答する新しいシステムの構築、光学活性なエフェクターを用いた光学活性な低分子に応答するシステムの構築は高分子化学の新しい側面を浮き彫りにできると思われる。また、高分子科学の基礎として相分離現象の理解に向けて、高分子鎖の柔軟性と相互作用部位の協同性の評価として複数の高分子鎖の合成を進めており、温度応答性評価が待たれる。さらにはフッ素溶媒中での高分子の温度応答性発言にむけての高分子のデザインと合成が進んでいる点も重要と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
フッ素溶媒中で機能する温度応答性高分子の合成、および高分子主鎖を変えた尿素官能基およびピレン官能基を持つ高分子の合成を中心に検討して、温度応答性高分子の分子デザインの理解を目指す。特に高分子鎖の柔軟性と相互作用部位の協同性の評価を目指す。応用としては化学反応によって誘起される高分子の相分離や高分子ブラシの構築に向けて検討を進める。
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Causes of Carryover |
平成27年3月に物品を納品済みであるが,本学の会計システムの仕様上,4月以降の支払となるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由によりすでに使用済みであり,使用予定はない。
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