2017 Fiscal Year Annual Research Report
反応エレクトロスプレーイオン化質量分析法の提案と無機オキソ酸分析への応用
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26288065
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
角田 欣一 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (30175468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 弘樹 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (80397603)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 質量分析 / 無機微量分析 / オキソ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ESインターフェースで、ほとんどすべての無機オキソ酸とカルボン酸類の化合物が脱水縮合反応を起こし、それら生成物が強いMass信号を与える現象を見出したことを基礎に,それを利用する無機オキソ酸の汎用法よりも高感度(検出限界subnM)、高選択的、ハイスループットな微量定量法である「反応ESIMS」の確立のための研究を行ってきた。具体的には、本年度は①ESインターフェースにおける様々なオキソ酸とカルボン酸との脱水反応の最適化、②最適なカルボン酸の探索、③電解セル法の開発とICや脱塩装置とのシステム化による実用分析法の確立、の3つの研究課題について28年度までの成果をもとに研究を継続した。①および②に関しては、これまで基礎的検討を行ってきた亜硝酸イオン,ホウ酸,ケイ酸について,それらの天然水(河川水,汽水,海水)の分析のための条件検討を行った。その結果,亜硝酸イオンに関しては,河川水の分析に応用できることは分かったが,汽水,海水については問題が残った.一方、ホウ酸,ケイ酸については,③の脱塩装置との組み合わせにより検討を行った.脱塩セルに関しては,試料流路と電解液流路の隔膜にこれまで使用してきた透析膜のかわりにイオン交換膜を用いてNaCl 500mMまでの脱塩を行うことができ,オンライン脱塩セル/ESIMSシステムも構築できたが,ホウ酸,ケイ酸の実試料分析への応用までには至らなかった.また,③のうち,電解セルに関しては環境ホルモンの一種であるbeta-エストラジオールとビタミンD3について電解酸化に伴うMS感度の変化を観察したが、目立った感度向上は得られず,今後さらに検討する予定である。 なお,本年度 に取り組む予定の④脱水反応の生体関連物質や有機環境汚染物質分析への応用,に関しては,着手できなかった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記のように当初設定した4つの研究課題に関し、多くの課題を残したため,上記の評価となった.特に,③のオンライン脱塩セル/ESIMSシステムの構築と応用は,本申請の中心と考えていたが,最適化に時間がかかり,実際の試料分析による実証実験にまでは至らなかった。そのため,研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度までの成果をもとに、オンライン脱塩セル/ESIMSシステムの最適化と,ホウ酸,ケイ酸の天然水の分析への応用を計る予定である.また,アンモニアの定量法の開発に引き続き取り組む.さらに④脱水反応の生体関連物質や有機環境汚染物質分析への応用,に関しては,クエン酸,リンゴ酸などの有機カルボン酸を中心にその定量法の検討,に取り組む.また,電解セル/ESIMSシステムについても検討を継続する。
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Causes of Carryover |
ESIMS測定のオンライン前処理装置として,脱塩装置の開発を行ってきたが,基本的な装置の作製と評価は行えたものの,実際の試料の分析を行うための条件設定に予想外に時間を取られ,実際の応用にまでは至らなかった。この研究は本申請の中核であるため,研究期間の延長を申請し,認められた。残された予算は主として実験の遂行に必要な消耗品代に充てる予定である。
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