2014 Fiscal Year Annual Research Report
脂質支持膜への細胞融合法の開発と膜タンパク質計測への応用
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26288067
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金田 隆 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20243909)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / 単一細胞計測 / 細胞融合 / 電気泳動 / 単一分子検出 / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜に局在する膜タンパク質を計測するための新しいサンプリング法として、ガラス基板上に作製した脂質二分子膜に生体細胞を融合させる方法について検討した。まず、ガラス基板上に脂質二分子膜を作製するために、リポソームを利用した自己組織膜の作製法について検討した。自作の全反射蛍光顕微鏡を用い、リン脂質であるDipalmitoylphosphatidylcholine (DPPC)と蛍光標識脂質である[1,2-Dipalmitoyle-sn-Glycero-3-]phosphoethanolamine-N-lissamine rhodamine B sulfonylから成るリポソームを作製し、これを用いてベシクル融合法により基板表面に脂質支持膜を作製した。脂質支持膜形成のためのリポソーム量の最適化を行った結果、脂質支持膜形成のために必要な量のリポソームを作製するための条件は、蛍光脂質含有率が1%以下,脂質濃度が10 mM以上であることがわかった。また、形成した脂質支持膜の流動性を評価するために、光退色後蛍光回復法(FRAP)による膜の流動性評価を行った。その結果、基板表面に形成した膜の蛍光画像にはムラが生じており、完全な脂質二分子膜の形成は困難であったため、今後は膜作製領域の微小化が必要であると予想された。 この脂質支持膜への細胞の融合を蛍光観察するために、細胞をオクタデシルローダミンB (R18)で染色し、細胞の小胞化と脂質支持膜への融合実験を行ったが、融合を確認することはできなかった。これは細胞膜と脂質支持膜の脂質組成が異なるためであると予想されるため、今後は、細胞膜の組成に近い複数の脂質から成る混合脂質膜を用いて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質支持膜の形成、細胞の小胞化に関する基礎的な検討は終了しており、細胞融合のための検討を進める段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質支持膜に細胞を融合させるためには、脂質支持膜の組成を細胞膜に近いものにする必要があると予想される。したがって、文献を参考に、がん細胞の細胞膜組成に近い脂質支持膜を作製し、その膜への細胞の融合を試みる。この際、脂質の組成を変化させ、最適な脂質組成を明らかにする。
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Research Products
(4 results)