2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26288072
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
手嶋 紀雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30292501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 知也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10312901)
澤野 誠 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (40242143)
村上 博哉 愛知工業大学, 工学部, 講師 (40515128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 呼気分析 / 化学診断法 / 低侵襲分析 / 流れ分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
呼気ガス分析は,血液分析に代わる痛みの少ない低侵襲かつ簡便な健康管理・病態診断法として注目されている。 ①バイオマーカーの探索:バイオマーカーとなり得るアルデヒド類・ケトンとして,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アクロレイン,アセトンを選択した。これらの分析対象物と誘導体化試薬であるCNETとの反応について検証したところ,いずれも蛍光誘導体を生成することが判明した。有機ポリマー型モノリスカラムを調製し,これらの誘導体の分離分析を試みたところ,その可能性が示唆された。 ②呼気アセトン・イソプレン分析:サリチルアルデヒドとアセトンが強塩基性下でアルドール縮合する反応において,反応物のサリチルアルデヒドの蛍光が消光することが明らかになっており,これをフローインジェクション分析(FIA)に導入したところ,アセトン濃度に比例した負のシグナルが得られた。一方,イソプレンのFIA蛍光分析においては,ppmvレベルの計測が可能となった。 ③無侵襲な肺機能評価法:呼気中CO/CO2比による無侵襲換気血流比評価法の理論的基盤を構築するために以下の検討を行った。健常ボランティア10人において,(1)内因性COの分時産生量および血中CO濃度が一定であることを確認するため,定常流自然呼吸法にて経時的に測定した。(2)終末呼気CO2濃度が,換気条件やCO2分時産生量によらず血中CO2濃度に等しいことを確認するため,13CO2を血中に導入し,継時的に血中CO2濃度,呼気CO2濃度,13CO2/12CO2比を測定した。 ④流れ分析の高機能化:上記①~③の分析法の自動化を目指し,FIA法を発展させたシーケンシャルインジェクション分析(SIA)法,及び,同時注入迅速混合フロー分析(SIEMA)法を尿分析によって機能評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要欄に記載した①~④のそれぞれに関する自己点検は以下の通りである。 ①:目標は誘導体化試薬であるCNETと各種アルデヒド並びにアセトンの蛍光誘導体化反応における最適条件を求め,有機ポリマー型モノリスカラムによる分離分析を行うことであった。これに関してはほぼ計画通りに進んでいる。また唾液中のバイオマーカーの可能性としてアセトアルデヒドが注目されているが,本年度にアセトアルデヒド由来DNA損傷体定量のための高感度HILIC-ESI-MS分析系の開発を行ったことから,着実に進捗している。 ②:アセトンに関しては,水溶液中のアセトンのFIAの条件が確立された。イソプレンはオゾンとの反応によって生ずるホルムアルデヒドをジメドンによる蛍光誘導体化反応によって間接的に定量するFIAが確立された。 ③:呼気中CO/CO2比による無侵襲換気血流比評価法の開発は,血中CO濃度が一定であること,終末呼気CO2濃度が換気条件(換気血流比)によらず血中CO2濃度に等しいこと,を前提条件としている。本法はこの前提条件の上で,呼気終末CO濃度と血中CO濃度の乖離程度より換気血流比の相対的変動を求めるものである。H26年度には上記前提条件を実験的に確認することにより,本法の理論的基盤を確立し得たものと評価される。 ④:流れ分析法であるSIA法,SIEMA法を用いて,化学診断法自動化の基盤技術が確立されたことから,計画は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
①:有機ポリマー型モノリスカラムの分離分析性能を改善しつつ,呼気捕集・蛍光誘導体化・HPLCが一体となった自動分析システムの構築を目指す。 ②:アセトンに関しても,アセトンガス捕集/蛍光FIAシステムを構築する。イソプレン蛍光FIAでは,呼気イソプレン濃度レベルまで高感度化を図る。 ③:H27年度には倫理委員会の承認を得て,健常ボランティア10人を対象として,体位変換やPEEP(呼気終末陽圧)バルブの使用により換気血流比を人工的に変化させ,「呼気中CO/CO2比による無侵襲換気血流比評価法」よる測定と動脈血酸素飽和度や動脈血O2 CO2分圧など換気血流比を反映するパラメータとの相関を検討する。
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Causes of Carryover |
本22,437円は,H26年度末に生じた未使用金額である。H26年度末までに一定の成果が得られたので,無理に使用することはしなかったために,未使用額として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度の研究における物品費として使用する。
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Research Products
(30 results)