2015 Fiscal Year Annual Research Report
マルチ銅オキシダーゼによる酸素還元機構の解明と機能改変体の電極触媒としての利用
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26288076
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
櫻井 武 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90116038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 邦重 金沢大学, 物質化学系, 教授 (40252712)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マルチ銅オキシダーゼ / 酸素4電子還元 / 電極触媒 / 三核銅部位 / プロトン輸送 / タイプ1銅 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 捕捉に成功しているマルチ銅オキシダーゼの2種の酸素還元中間体のうち2電子還元体(中間体1)の結晶構造解析を試みたが、結晶作成中に含量が低下していくことがわかり、X線回折データを得るまでの中間体作成や結晶作成の時間を可能な限り短縮する方法について検討した。 2. マルチ銅オキシダーゼの中性子回折を実現するため重水を溶媒とし、巨大結晶作成を試みて来た。進歩はしているが、3辺とも1mm以上のクオリテーの高い結晶は未だ得られていない。一部、ペプチドを切断すればより大きな結晶が得られることがわかったことから、野生型と改変体の両方の結晶化を試みる。改変体の作成については、結果を投稿中である。 3. 酸素の4電子還元に際して、第4番目の電子が最終的に、酸素還元部位から遠くはなれた位置にある部位からもたらされることは間違いないが、酸素還元部位により近い場所に配置されたアミノ酸残基が一時的な電子ドナーとして働く可能性は否定できない。そこで、潜在的に電子ドナーとなりうる4つのアミノ酸残基に変異導入して、それらの反応への寄与の有無について検討した。銅への配位子やプロトン輸送に関わることが明らかとなったアミノ酸にも同時に変異導入し、酸素還元中間体を捕捉、キャラクタリゼーションし、酸素の4電子還元について詳細に検討した。これらの結果の一部について投稿準備中である。 4. 野生型および改変体の直接電気化学を行い、酸化還元電位と酵素活性の相関関係について検討した。作用電極として、種々のカーボン材料が使用可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチ銅オキシダーゼによる酸素の4電子還元機構の解明について、大筋は描けており、部分的にはこれ以上検討する必要はない部分もあるが、全容解明までには至っていない。難しい部分が残っているので、研究の進捗速度は遅く、成果の発表が遅れがちになっている。研究をしていく中で、これまでは世界の誰も着手していない新規な課題も見いだせており、本研究の発展として、予備的実験を始めている。電気化学によるアプローチについては、新たに種々のカーボン材料を用い始めているが、現時点では再現性が高くないことから、成果を発表する段階に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
X線結晶構造解析と振動分光による反応中間体の構造解析を実現する。プロトン輸送機構に関しての計算科学による解析は研究体制の問題(研究の担い手の不足)から後回しになっており、再開を模索する。変異導入により酵素活性を高めたマルチ銅オキシダーゼを電極触媒として利用する系を確立する。ビリルビンオキシダーゼについては翻訳後修飾されたアミノ酸側鎖間の共有結合が電子伝達経路となっていることを新たに見いだしていることから、マルチ銅オキシダーゼの酵素活性との関連を明らかにする。
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Research Products
(7 results)