2016 Fiscal Year Annual Research Report
テロメアRNA四重鎖構造分子基盤の解明を目指したケミカルバイオロジー
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26288083
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
徐 岩 宮崎大学, 医学部, 教授 (40506763)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体分子 / 核酸 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、ヒトテロメアDNAがRNAに転写されているという意外な事実が明らかになった。この発見によって、テロメアRNAが細胞内において重要な役割を果たすことが示唆された。そこで、本研究では、有機合成による分子プローブの創製とこれを利用した細胞内のヒトテロメアRNA分子構造を目指したケミカルバイオロジー研究を行う。本年度の目標であるテロメアRNA四重鎖構造の細胞内可視化について、19F-NMR法を用いてアフリカツメガエル卵母細胞でヒトテロメアRNA構造を解析した結果、細胞内でヒトテロメアRNAは四重鎖構造を形成することが明らかになった。さらに、ヒトテロメアRNAが連続的に4重鎖構造を形成する高次構造を発見した。また、クリックケミストリーという化学的アプローチを利用することにより、細胞内でヒトテロメアDNAとRNA分子がハイブリッド四重鎖構造を形成することを明らかにした。リガンド分子及びタンパク質はテロメアRNA四重鎖構造の相互作用の解析について、19F-NMR法を用いて解析した結果、リガンド分子は二量体したヒトテロメアRNA四重鎖と相互作用することが明らかになり、このような高次構造はタンパク質と相互作用することを解明することに成功した。こちらの結果は、国際誌Nucleic Acids Res.及びChemistrySelectなどに発表した (Nucleic Acids Res. DOI: 10.1093/nar/gkx109, 2017, in press; ChemistrySelect DOI: 10.1002/slct.201700711, 2017, in press.)。 NMR法を用いてヒトテロメアRNA r(GUUAGGGU)は、Na+溶液中で四重鎖から形成する高次構造を発見した。この構造はいままで発見されたRNA構造と異なり、八重鎖を形成し、安定することが明らかになった。こちらの結果は、国際誌J. Am. Chem. Soc.に発表した (J. Am. Chem. Soc. 139, 7, 2017.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1) 19F NMRを用いてアフリカツメガエル卵母細胞でヒトテロメアRNA構造の解明に成功した(Nucleic Acids Res. DOI: 10.1093/nar/gkx109, 2017, in press.)。 (2)リガンド分子及びタンパク質はテロメアRNA四重鎖構造の相互作用の解析に成功した(ChemistrySelect DOI: 10.1002/slct.201700711, 2017, in press.)。 (3)ヒトテロメアRNA r(GUUAGGGU)はNa+溶液中で四重鎖から形成する高次構造を発見した(JACS. 139, 7, 2017.)。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、有機合成によるテロメアRNA分子機構の解明に利用できるケミカルバイオロジーツールの創製、およびそれを駆使して細胞内のテロメアRNA四重鎖構造の解析が第一段階である。そしてそれを基盤にした第二段階として、そこで得られた情報を、細胞内においてテロメアRNAとテロメアDNAの関連性を明らかにする。19F NMRを用いてアフリカツメガエル卵母細胞でヒトテロメアRNA構造の解明に成功した(Nucleic Acids Res. DOI: 10.1093/nar/gkx109, 2017, in press.)。ヒト細胞での更なる検証実験が必要である。また、ヒトテロメアRNA r(GUUAGGGU)はNa+溶液中で四重鎖から形成する高次構造を発見した(JACS. 139, 7, 2017.)。この結果から分子クラウディングなど細胞に類似している条件下で、ヒトテロメアRNAの構造を検討することが必要である。よって更なる検証実験が必要である。
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Causes of Carryover |
(1) ヒトテロメアRNA r(GUUAGGGU)はNa+溶液中で四重鎖から形成する高次構造を発見した(JACS. 139, 7, 2017.)。この結果から分子クラウディングなど細胞に類似している条件下で、ヒトテロメアRNAの構造を検討することが必要である。よって更なる検証実験が必要である。 (2) 19F NMRを用いてアフリカツメガエル卵母細胞でヒトテロメアRNA構造の解明に成功した(Nucleic Acids Res. DOI: 10.1093/nar/gkx109, 2017, in press.)。ヒト細胞での更なる検証実験が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)分子クラウディングなど細胞に類似している条件下で、ヒトテロメアRNAの構造を検討するために、RNA合成試薬や精製のためのカラムは、必要であると考えられる。合成実験のために、反応溶媒、精製溶媒などを必要とする。(2)19F NMRを用いてヒト細胞での更なる検証実験を行うための費用として、細胞培養に必要な培地、血清、添加剤代を試算した。
合成試薬・消耗品:(200,000円)、細胞培養関連消耗品(400,000円)、旅費:国内での成果発表(10,000円)、その他:論文投稿料など(99,300円)
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Research Products
(11 results)