2014 Fiscal Year Annual Research Report
3本鎖核酸結合蛋白質の3本鎖核酸認識の構造的基盤と人工的遺伝子発現制御への利用
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26288084
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鳥越 秀峰 東京理科大学, 理学部, 教授 (80227678)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 3本鎖核酸結合蛋白質 / 3本鎖核酸 / 3本鎖核酸認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
3本鎖DNA結合蛋白質のN末端領域が、プリン型3本鎖DNAとの結合に必要な3本鎖DNA結合ドメインであることを、筆者は既に明らかにしている。 本年度は、まずこの3本鎖DNA結合ドメインの塩基性アミノ酸残基Lys, ArgをAlaに置換した点変異型3本鎖DNA結合ドメインを調製した。調製した野生型および点変異型3本鎖DNA結合ドメインとプリン型3本鎖DNAの結合活性をゲルシフト法で解析した。3本鎖DNA結合ドメインのLys, ArgをAlaに置換すると、プリン型3本鎖DNAとの結合活性が低下することが明らかとなった。これより、3本鎖DNA結合ドメインの塩基性アミノ酸残基Lys, Argが、プリン型3本鎖DNAとの複合体形成に重要なアミノ酸残基であると考えられる。 次に、3本鎖DNA結合ドメインの非存在下および存在下で、生理的条件におけるプリン型3本鎖DNAの形成能を未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析した。3本鎖DNA結合ドメインの存在下では非存在下に比べて、生理的条件におけるプリン型3本鎖DNAの形成能が促進されることが明らかとなった。また、促進の程度に差はあるものの、プリン型3本鎖DNAの塩基配列に関係なく、プリン型3本鎖DNAの形成能が促進された。これは、3本鎖DNA結合ドメインがプリン型3本鎖DNAの塩基配列よりもプリン型3本鎖DNAの形状を認識して結合する事と関係していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究目的である、3本鎖DNAとの複合体形成に重要な、3本鎖DNA結合蛋白質のアミノ酸残基を解明することができたから。また、平成26年度のもう一つの研究目的である、3本鎖DNA結合蛋白質存在下で、プリン型3本鎖DNA形成が促進されることを解明することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
X線結晶構造解析により、3本鎖DNA結合蛋白質と標的プリン型3本鎖DNAの複合体の3次元構造を解析する。高精度のデータが得られない場合には、15Nと13Cで安定同位体標識した蛋白質を用いたNMRで解析する。また、緩衝液のpHやイオン強度や温度を変化させて、3本鎖DNA結合蛋白質と標的プリン型3本鎖DNAの結合をゲルシフト法や等温滴定型熱量計や生体分子間相互作用解析装置で解析する。これより、3本鎖DNA結合蛋白質が標的プリン型3本鎖DNAを認識する結合の熱力学的・速度論的特性を解明し、2本鎖DNA結合蛋白質が2本鎖DNAを認識する結合の熱力学的・速度論的特性と比較する。以上より、3本鎖DNA結合蛋白質がプリン型3本鎖DNAを特異的に認識する立体構造的基盤を解明する。 また、3本鎖DNA形成用1本鎖DNA(TFO)を添加する事で、プリン型3本鎖DNAを形成し得るプロモーター配列の下流にレポーター遺伝子を挿入したin vitro転写系を構築する。3本鎖DNA結合蛋白質存在下のほうが、TFO添加時にプリン型3本鎖DNAが安定に形成され、レポーター遺伝子の発現を効率的に制御できるかを検討する。また、3本鎖DNA結合蛋白質発現用プラスミドとTFOを同時に培養細胞に導入し、3本鎖DNA結合蛋白質存在下のほうが、培養細胞内でも標的遺伝子の発現を効率的に制御できるかを検討する。以上より、3本鎖DNA結合蛋白質をプリン型3本鎖DNA形成時に共存させることで、生理的条件でのプリン型3本鎖DNA形成を促進し、3本鎖DNA結合蛋白質を活用した、新規の人工的遺伝子発現制御法を開発する。
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Causes of Carryover |
消耗品の使用額が予想よりも少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度分として請求した助成金と合わせて、効率的に使用する。
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