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2014 Fiscal Year Annual Research Report

プラスチック分解酵素のポリマー分解機構の解明と機能強化

Research Project

Project/Area Number 26288085
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

中島 敏明  筑波大学, 生命環境系, 教授 (80241777)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords微生物酵素 / 生分解性物質
Outline of Annual Research Achievements

本研究室保有の生分解性プラスチック分解菌 Roseateles depolymerans TB-87株は、基質特異性や分解活性のよく似た2種類の分解酵素Est-H、Est-Lを分泌する。今年度はTB-87株のドラフトゲノム解析と精製酵素の内部アミノ酸配列分析によるEst-H、L遺伝子の特定、および周辺領域の解析を行った。また、それらと相同性のあるタンパク質を検索した。
内部アミノ酸配列解析の結果とTB-87株全ゲノムデータより、酵素遺伝子の特定を行った。その結果、Est-H、L遺伝子と考えられるORFそれぞれ1083bp、870bpを特定した。両遺伝子は互いに高い相同性を持ち、それらはシャペロン様遺伝子を挟んで近接していた。また周辺には多数の機能未知の遺伝子が確認された。当研究室保有の他の生分解性プラスチック分解菌(TB-71 株)にも酵素遺伝子の近傍にシャペロン様遺伝子が存在するものがあり、Est-H、L遺伝子とシャペロン様タンパク質の相互作用の解明は、生分解性プラスチック分解酵素遺伝子の発現機構解明につながる可能性がある。
BLASTによるアミノ酸相同性検索の結果、一部のクチナーゼやエステラーゼなど加水分解酵素と高い相同性が見られた。中でもThermobifida alba AHK119株由来の好熱性の生分解性プラスチック分解酵素と高い相同性を持っていた。両者の酵素タンパク質の構造上の類似点や差異を研究することで、生分解性プラスチックの耐熱化に関する情報が得られ、その応用に大きな進展をもたらす可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度はTB-87株のドラフトゲノム解析と精製酵素の内部アミノ酸配列分析によるEst-H、L遺伝子の特定、および周辺領域の解析を行った。その結果とEst-H、Lはそれぞれ独立した、しかし極めて相同性の高い遺伝子からコードされていることを明らかにした。さらにそれらはシャペロン様遺伝子を挟んで近接していた。両遺伝子の比較と部位特的変異による実証は、プラスチック分解酵素の機能解明に有効である。さらに、両遺伝子は好熱性の生分解性プラスチック分解酵素と高い相同性を持っていた。両者の酵素タンパク質の構造上の類似点や差異を研究することで、生分解性プラスチックの耐熱化に関する情報が得られ、その応用に大きな進展をもたらす可能性がある。
酵素の発現に関して検討したが、そのままではうまくフォールディングされないことが明らかになっている。シャペロン様遺伝子の機能解明とともにこの点のブレークスルーが次年度のキーとなる。

Strategy for Future Research Activity

各種検討に向け、酵素の大腸菌へのクローニングと大量調製を試みる。これまでの検討で、TB-71株由来の分解酵素の大腸菌の菌体内での大量発現は宿主の死滅を招くことが示されている。そこで、シグナル付与による菌体外への分泌を検討するとともに、放線菌や酵母等の大腸菌以外の宿主を用いた発現系の確立を検討する。また、TB-87 株由来の酵素も、ショットガンクローニングが全く成功しなかった経験があるため、同様の可能性が考えられる。このため、こちらについても検討を行う。
本酵素のポリマーとオリゴマーに対する基質特異性の違いに関連するアミノ酸残基にターゲットを絞り、PCR を用いた部位特異的変異による機能改変を試みる。アミノ酸残基の特定は前年度に行うランダム変異の結果とシュミレーションモデリングによる立体構造の情報を参考にする。得られた変異体を大量調製し、その基質特異性を詳細に解析するとともに、その立体構造の変化について検討する。
申請者は数十株のプラスチック分解菌を自然界より取得、保有している。これらのうちのいくつかはその分解酵素、遺伝子を特定している。しかし、これまでに得られた分解酵素や遺伝子は、他の研究者によるものを含めて、真菌のクチナーゼ関連酵素以外ほとんどが互いに全く異なるポリペプチド鎖からなっており、酵素同士の比較検討が困難であった。しかし、申請者の分離した菌株の中にはやRoseateles属、及びその関連菌が複数含まれており、比較対象としての酵素・遺伝子の類似性が期待できる。そこで、これらの菌株から関連酵素、遺伝子を取得し、その分解酵素遺伝子を比較することにより、基質特異性相違に関連するアミノ酸残基を明らかにすることを試みる。

Causes of Carryover

当初バイオインフォマティックスの専門家として博士研究員の雇用を予定していたが、今年度より、次年度にその必要性が高くなり、かつ遺伝子発現、特にタンパク質のフォールディングに精通した研究員を必要としたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

バイオインフォマティックスに精通し、かつ遺伝子発現において相当の経験を有する博士研究員の雇用(該当者を確定済み)。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Roseateles depolymerans 由来の2種の生分解性プラスチック分解遺伝子のクローニング2014

    • Author(s)
      中島敏明 筒井敦司 飯島俊 鈴木敏弘
    • Organizer
      日本生物工学会66回大会
    • Place of Presentation
      札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
    • Year and Date
      2014-09-11

URL: 

Published: 2016-06-01  

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