2014 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素の安定同位体比のリアルタイム計測手法の開発
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26288086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸野倉 賢一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (00260034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光太郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (10455470)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境計測 / 同位体分析 / 一酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
波長変調吸収分光法を基盤としたCO安定同位体比計測装置の開発を行った。波長変調吸収分光法は、レーザーを数KHzの周期(f)で波長を変調させその成分fをヘテロダイン検出するので、ホワイトノイズに強く高感度の吸収分光が可能である。COを高感度計測するには、中赤外領域のC-O伸縮振動の基本音に帰属される中赤外吸収を用いるのが有用であり、近年開発された4.7μm帯の中赤外域のレーザー発振が可能である量子井戸レーザーを光源として用いるにあたり、4.7μm域の吸収帯でδ13Cとδ18Oの同時計測が可能な吸収線をスペクトルシミュレーションにより選定した。新たに光学セルを設計して、光学セルの長光路化を図った。これまで汎用的に用いられてきた数十m程度の光路長のHerriott型の多重反射セルは、凹面鏡を利用していたが、トロイダル鏡を利用することにより、従来のセル容積(約1 L)を1/5程度(約0.2 L)に縮小したうえで、2倍以上の有効光路長を実現することが可能になる 。光学設計ソフトを用いた光学シミュレーションにより、トロイダル鏡を用いた従来に比べコンパクトでかつ長光路化が図れる光学セルを設計・製作した。分子の振動回転線状態を検出する本方法では、雰囲気温度の変化により回転分布が変化し、スペクトルの強度に変化を及ぼす。高精度計測を行うには、吸収セルの温調を0.1 K程度の精度で制御する必要がある。吸収セルの温調機構を開発し、装置温度、圧力等の最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の開発は順調に行われているが、スペクトルの安定性についてか検討の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
化石燃料の燃焼や自動車排気に着目した実燃焼排気計測を行い、COの安定同位体比のリアルタイム計測による本開発装置の実用性の検討を行う。
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Causes of Carryover |
次年度、レーザーを追加購入する必要があるため、その予算確保として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
量子カスケードレーザーの購入に充てる。
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