2014 Fiscal Year Annual Research Report
発光性細胞株アレイを用いた高速PM2.5評価系の構築
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26288088
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金 誠培 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (60470043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 博 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (20356455)
長縄 竜一 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (40357637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微小粒子状物質 / PM2.5 / 有害性試験 / バイオアッセイ / 生物発光プローブ / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、浮遊微粒子状物質(PM2.5)の生物毒性・炎症効果を評価する方法論の開発を目的とする研究である。この目的を達成するためにこの1年間、(1)多チャンネル光検出装置の超高感度化、(2)免疫毒性可視化プローブの開発、(3)新規人工生物発光酵素の開発に重点をおいて研究を進めた。 (1)多チャンネル光検出装置の超高感度化:PM2.5に付着されている化学物質が微量であることから、微量化合物に発光する可視化プローブの高輝度化と共に、多チャンネル光検出装置の超高感度化が必ず必要であった。そこで、既開発の多チャンネル光検出装置の光検出方式をアナログ式からデジタル方式(フォトンカウンティング)に修正することで光検出感度を飛躍的に向上させた。また、発光信号の消光損失を最小限に抑えるために8つの導光路をそれぞれホトマルの受光部に繋がるように設計変更した。 (2)免疫毒性可視化プローブの開発:PM2.5による多様な生理活性(毒性、ホルモン様活性、炎症効果など)に対応するためには、それに対応した可視化プローブの開発が課題である。この研究期間中、化学物質による免疫毒性に発光する新規発光可視化プローブの開発に成功しその成果を論文纏め、国際ジャーナルに論文投稿中である。 (3)新規人工生物発光酵素の開発:微量のPM2.5による生理活性評価には、可視化プローブを構成する発光酵素の性能改善が効果的である。この研究期間中、既存のALuc30番代に加え40番代と50番代の新規人工発光酵素を開発しその輝度と発光安定性、金属イオン感受性などに関する基礎研究を行った。また、新規人工発光酵素に最適な基質に関する検討も行った。この成果を纏め、国際ジャーナルに1報を出版しており、もう一つの論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述したように、この研究期間中の研究は、3つの課題を成功的に遂行したこともあり、また世界中の多くの研究者より研究成果物(発光酵素)の提供依頼が殺到していた経緯がある。また、この科研費課題(PM2.5の生理活性評価)に対応して、産総研の内部資金獲得(理事長戦略予算と分野イノベーション予算)も成功したことから、当初の科研費減額にも関わらず、多額の研究費用がかかる発光装置改良に研究資金を充てたこともあり全般的に円滑な研究進行ができた。この期間中の研究成果物等(論文、発光材料など)から想定以上の研究成果を得ていると自評する。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究成果と当初の研究計画に基づき着実に今後の研究を推進していく。 (1)多チャンネル光検出装置の超高感度化とともにその制御ソフトの改良や最適化が必要である。具体的にはPM2.5の検出に適した制御システムにする。リアルタイム計測や各チャンネル間の受光感度の偏差値を最小限に抑える改良を行う。 (2)前記光検出装置に搭載する可視化プローブの開発と改良を引き続き行う。PM2.5による生理活性は、炎症、ホルモン様活性、細胞毒性などであることから、これらの生理活性を可視化する分子プローブを開発する。具体的には、炎症物質に応答するNF-kBの分子構造変化を指標に高感度発光プローブを開発する。 (3)前記光検出装置と可視化プローブを支える基盤技術として、発光酵素そのものの高輝度化、多色化を目指す。新規人工発光酵素の樹立とともにその発色団に関わるC-末端のアミノ酸変異を導入することにより、性能改善を模索する。 (4)前記成果を踏まえ、肺を中心とした各臓器由来の真核細胞に前記可視化プローブを導入する試験により、細胞アレイの構成を行うとともに、その過程で発生する課題や問題点を解決する。PM2.5の様々な生理活性に対して瞬時に発光応答できるようにシステムを最適化する。
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Causes of Carryover |
前述したように、本科研費基盤研究(PM2.5の生理活性評価)に対応して、産総研の内部競争資金の獲得に成功した(理事長戦略予算と分野イノベーション予算)。この内部資金は単年度しか使用が認められず、繰り越しが認められない資金であるため、本科研費基盤研究遂行資金として、この内部資金を多く支出した。2年度目に多くの人件費支出が予定されていることから、繰り越しの可能な本科研費研究費をなるべく温存させて円滑な研究遂行を計っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当所の本科研費基盤研究の研究計画書に記載しているように主に人件費として支出する予定である。他に消耗品や研究発表会参加旅費として支出する予定である。
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Research Products
(10 results)