2015 Fiscal Year Annual Research Report
発光性細胞株アレイを用いた高速PM2.5評価系の構築
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26288088
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金 誠培 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (60470043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 博 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (20356455) [Withdrawn]
長縄 竜一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (40357637)
中里 哲也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (10357618)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物発光 / PM2.5 / 重金属 / 免疫毒性 / イメージング / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
採択時の研究計画に基づき、当該年度の研究としては、まず産総研独自に開発したPM2.5収集装置を用いて、川崎(国内起因)と福岡(長距離輸送)でPM2.5を採集した。さらに採集したPM2.5をトラップしているHEPAフィルタを紙片化し緩和条件でPM2.5を水溶液や培地分散を行った。その結果、最適な分散条件を見つけることができた。 さらに前年度開発した多チャンネル式光計測装置を用いて(図4)、PM2.5由来の重金属類の有無を網羅的に簡易計測した。この際、前述した知見の基で得られたPM2.5分散液を用いて、PM2.5由来の重金属類を簡便に検出する生物発光アッセイを実施した。 本研究の実施にあたり、本研究者らが独自に開発した人工生物発光酵素群(ALuc)が2価重金属に特異的に発光減衰する現象を発見しており、この成果を国際ジャーナルに発表した(Anal Sci 2015; 業績欄参考)。より具体的には、図5で示すように、ALUCはMa2+やCa2+などには発光輝度を若干強めるが、Mn2+、Co2+、Cu2+、Pb2+、Al3+などに対しては発光輝度を失うことを発見した。この現象を用いれば、2価重金属の有無を環境現場で簡易に測定できることに着目した分析法を開発した。 更に、本研究期間中に免疫毒性物質に対する可視化手法として分子歪みセンサーを開発した。本手法では、ALUCの全長を用いることが特徴であり、その全長のALUCを真ん中に挟みその両端にタンパク質AとB(実際にはFRBとFKBP)を繋げる独特な分子構造をしている。もし免疫毒性物質(Rapamycin)があった場合、このプローブに繋げたFRBとFKBは結合する。この分子内結合によりその間に挟んだALUCに分子歪みがかかるため、発光輝度の相違が発生する。この発光輝度の相違は免疫毒性物質の濃度依存的であるため、発光値による定量分析が可能であることを見出した。 これらの結果より今年度中に5報の論文発表と5件の学会発表を行うなと、着実な成果をあげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標では、本課題のタイトルからも分かるように、「発光性細胞株アレイを用いた高速PM2.5評価系の構築」ことであった。しかし既に高速でPM2.5を高速計測する多チャンネル式光検出装置が構築されており、国内2カ所から実際のPM2.5サンプルを回収しその発光特性を調べることができた。また、当初目標していた、免疫毒性に応答する一分子型発光プローブが今年度完成しており、代表的な免疫毒性物質であるラパマイシンに対して高感度発光計測ができた(検出感度:10 -9M)。 これらの結果から論文5報と学会発表5件などの成果を得たことから、当初の目標を大きく上回る成果だったと自評する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度には引き続きPM2.5の採集と発光分析を行うとともにその網羅的な毒性評価をさらに強化する方向で研究を推進する考えてある。例えば、PM2.5に対して、重金属の有無、免疫毒性の有無、ホルモン様化学物質の生理活性を迅速に評価できるように工夫する。また、このニーズをサポートするために多チャンネル光検出装置のソフトウェアの改良と各チャンネル間の発光感度のバラツキを調整するシステム改良を行う。更にPM2.5の想定される有害性に備た新規発光分子プローブの開発を行う。
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Causes of Carryover |
約100万円程度の予算額が残ったが、この主な理由は、人件費の使用額が予定より少なかったためである。年度途中で、当該科研費ではテクニカルスタッフの給料を最後まで支払いできないことが判明したため、年度途中で内部の運営費交付金に切り替えました。結果的にその残額として100万円程度が残った形になりました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の多チャンネル式光検出装置の改良等に使う予定です。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Cation-driven Optical Properties of Artificial Luciferases, Analytical Sciences2015
Author(s)
Kim, S-B., Miller, S., Suzuki, N., Senda, T., Nishihara, R., Suzuki, K.
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Journal Title
Analytical Sciences
Volume: 31(10)
Pages: 955-960
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 高輝度合成生物発光基質セレンテラジンの開発2015
Author(s)
西原 諒, 金 誠培, 中嶋 隆浩, 佐藤 守俊, 岩澤 尚子, Citterio, Daniel, 西山 繁, 鈴木 孝治
Organizer
日本分析化学会第64年会
Place of Presentation
九州大学伊都キャンパス
Year and Date
2015-09-09 – 2015-09-09
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