2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26288089
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森 正悟 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10419418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲村 長利 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 研究グループ長 (00356966)
木村 睦 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (60273075)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 還元速度 / 電子注入 / 吸着角度 / 電子寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では色素増感太陽電池中の電子移動過程の完全解明を目的とする。特に色素から酸化チタンへの注入と注入後の色素カチオンの還元に関する機構解明が必要である。平成26年度では主に既報の有機色素を用いた還元速度、色素の吸着角度の電子注入への影響、色素の吸着基の電子注入への影響について検討した。一般的な有機色素はドナーとパイ共役とアクセプター部位から構成される。既報の有機色素に関しては、パイ共役の長さが還元速度に与える影響を検討した。色素の還元は電解液中のレドックス対と酸化チタンに注入した電子によって起きるため、通常レドックス対を含まない電解液と含む電解液を用いたセルを作製し、還元速度を色素カチオンの過渡吸収によって測定する。しかしながら、パイ共役の長い色素ではレドックス対を含む色素の還元速度が遅い結果が得られた。そこでレドックス対を含まない電解液中の電解質の影響を検討したところ、ターシャルブチルピリジンの有無によって還元速度が変わることが分かった。色素の吸着角度の影響に関しては、新規に吸着角度が酸化チタンの表面に対して、垂直、約45度、平行となるような色素を設計、合成した。その結果、平行に吸着するような色素の量子効率が低い結果が得られた。またその様な色素を用いた太陽電池の電子寿命が短いことが分かり、いままでに私たちが提案した仮説を支持する結果が得られた。吸着基に関しては一般的にカルボン酸が用いられるが、ピリジンを吸着基に用いた色素を合成したところ、カルボン酸を用いた色素と同等の量子効率が得られた。量子化学計算を用いて酸化チタンに吸着した色素の電子軌道を計算したところ、カルボン酸を用いた色素よりも若干ではあるが、酸化チタンに電子軌道がしみ出していることが分かった。測定装置に関しては、過渡吸収に用いる励起パルス光の波長を変換する装置を導入し、過渡吸収を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
色素の合成とそれらを用いたセルの電子移動過程の測定が進んでおり、またDFTを用いた計算においても、酸化チタン上の色素の角度だけではなく電子状態の計算もできており、予定どおり進んでいる。一方注入速度と注入効率に関する測定が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
色素のパイ共役の長さの影響と電解質の影響を区別する測定系を考案し、測定を行う。吸着角度の影響について、仮説どおりの結果が得られたが、今後さらに注入過程の過渡吸収を行い、温度依存を測定するなどして、詳しく検証する。また酸化チタン表面の電位プロファイルを制御した中での注入過程の測定を検討する。色素に関しては部分電荷の影響をより詳しく明らかにするための色素を設計・合成し、電子移動過程の測定と分析を行う。また注入過程の測定条件を決定し、これまでの色素の注入速度を測定する。DFT計算に関しては、酸化チタン上だけでなく、酸化亜鉛上に色素についても吸着角度と電子状態を計算する。
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Causes of Carryover |
DFT計算のための研究協力者の人件費に充てる予定であったが、研究の進捗状況により雇用時期を遅らせたため、次年度使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額とH27年度請求額をあわせて、DFT計算のための研究協力者の人件費に充てる。
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