2014 Fiscal Year Annual Research Report
機能性有機硫黄化合物の新規合成による高容量正極活物質材料の作製
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26288091
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
谷藤 尚貴 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80423549)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 正極活物質 / リチウム二次電池 / ジスルフィド |
Outline of Annual Research Achievements |
二次電池材料の正極活物質として,理論的に高密度で電子を授受する事ができるジスルフィド結合を利用すると,従来の無機系活物質を凌ぐ高い充放電容量を示す材料の創製が期待できる.今課題では分子内により多くのS-S結合を持つことで,理論容量の大きな有機ポリスルフィドを活物質とした,従来の無機系活物質の容量を大きく超える高い充放電容量を示す材料の合成を試みることにした.物質合成では,まずチオスルホン酸エステルを中間体としてジスルフィドを合成し,このジスルフィド誘導体に対して単体硫黄と混合し加熱する事で加硫生成物をアモルファス上の固体として得た.この物質を正極活物質として用いたリチウム二次電池を作製し,その充放電特性評価を行ったところ,最も性能の良い材料では,充放電容量が530 Ah/kgと高い充放電容量を示した.また,一定量の充電が進行した後に電気の抵抗値が急激に上昇するロックという現象の誘起が観測された.これは現在リチウム二次電池で問題となっている過充電を,この素材の添加だけで防ぐことができる可能性が示唆される知見であり、今後の有機系活物質開発において有用である. 要領以外の知見としては、ジスルフィド結合を繋ぐ有機基としてベンゼン環の1,3,5-置換をジスルフィド結合で拡張した、化合物で繰り返し充放電における容量低下が置きにくいことを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機系活物質の開発には,容量の増大と耐久性の向上が求められている.今年度の研究では硫黄による加硫という、簡便な操作で高容量の材料が高収率で得られた点で進展性が高いと評価した.さらには、充放電時における耐久性改善を有機系活物質で実現できる傾向を見出した点においても進展性は高く,次年度の条件検討によって更なる性能改善が期待できる点で,本年度の本課題の研究推進は順調であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
リチウム二次電池の作製、評価を専門とする共同研究者を加えて,電池の作製評価のサンプル数を増やしてスクリーニングをさらに進めて行き,性能改善を進める.また、有機活物質に添加する炭素材料と有機物の相互作用に着目した性能改善も試みていく.
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Causes of Carryover |
二次電池特性評価については,次年度のより専門とする研究者との共同作業により評価を速やかに進めていく予定であり,そのための実験費用を確保した.そのほかの本年度配分の研究予算使用については適切な使用ペースにより,実験試薬,消耗品,学会旅費として使用した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度より共同研究者に加わる関西学院大吉川准教授との共同研究費用に充てる.吉川は電池研究で世界トップレベルの研究者であり、電池の作製評価を単独で実施可能である.この共同研究の実施によって,本課題の成果は大きく発展すると予想される.
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Research Products
(4 results)