2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26288099
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 拓矢 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30525986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 育志 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80155457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環状の高分子から形成する分子集合体の特性が、対応する直鎖状高分子集合体の特性より大きく異なることを利用し、高分子のトポロジー変換(環状から直鎖状への切り替え)という新奇コンセプトに基づいた刺激応答性機能材料の開発を目指すものである。 これまでに申請者は、環状高分子から成るミセルが、対応する直鎖状高分子ミセルよりも構造安定性が遙かに優れていることを見出した。この現象は、同一の化学組成や分子量およびセグメント比にも関わらず、高分子の『かたち』(トポロジー)が自己組織化を介して材料特性に顕著に反映されることを示した初めての例である。本提案ではこの発見を発展さ、分子集合体を形成している環状高分子を開裂することで、トポロジーを直鎖へと変換を行った。これによって、その分子集合体の特性を大きく改変し、刺激応答性材料となった。これは、高分子自体の化学構造や分子量を変えることなく『かたち』のみの転換で、高分子鎖1本につき、僅か1個所の化学反応によって材料の特性を大幅に変更するという革新的な方略である。 平成27年度の結果として、光照射によって二量化し、熱によって開裂するアントラセンを親水性高分子であるpoly(ethylene oxide)、または疎水性高分子のpoly(tetrahydrofuran)の両末端に導入して、可逆的トポロジー変換を達成した。さらにクマリンによる可逆的トポロジー変換も検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジーの変換による物性制御を達成するための第一歩として、光・熱を利用して可逆的なトポロジー変換を達成し、学術論文に掲載されたため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、平成27年度に達成した光・熱反応による可逆的トポロジー変換を自己組織化構造中で行い物性制御を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が平成27年10月に東京工業大学より北海道大学に異動したため、申請当初の物品購入計画から変更が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度未使用分を平成28年度の早期に執行し、研究の遂行に差し支えがないよう取り計らう。
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Research Products
(21 results)