2014 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲンレドックスを利用した蓄電デバイスの多様な展開
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26288112
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
石川 正司 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (30212856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山縣 雅紀 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (80527119)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電池 / キャパシタ / ハロゲン / 炭素電極 / 蓄電 / マグネシウム負極 / マグネシウム電解液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ハロゲンレドックスを利用した蓄電デバイスの多様な展開として、正極ではハロゲンによる電荷貯蔵、負極では、非ファラデー反応、リチウム吸蔵、その他金属貯蔵など、様々な展開が期待できる。26年度では、正極は臭素貯蔵の反応機構の増進、そして負極は主に新発見のマグネシウム金属の溶解析出挙動について調査した。電解液は臭素によるレドックス利用を意識し、常に臭化物イオン含有系としている。まず、正極反応とそれを利用したキャパシタに関しては、バインダなどを用いた合剤電極系は、活性炭繊維布系よりも、効率や貯蔵の可逆性が低下することが判ったが、これは正極活性炭の細孔構造による見かけの効果ではなく、確かに特有のバインダによる影響であることが明確になった。この結果は、臭素のレドックスを利用する系では、電極の補助材についても最適化が必要なことを示しており、27年度以降は、この結果をもとに、臭素レドックスによる貯蔵材料の最適化を進める予定である。また、電池系に関しては、マグネシウム金属の充放電について、これまで誰も報告していない、大電流かつ高可逆性が発現した。現在のところ、この高特性の機構の全容は明らかになっていない。よって、27年度はこの高特性の原因究明のため、電気化学的解析のみならず、電解液の分光学的解析についても進める。このように、臭素正極反応の材料条件についての理解進展と、特にそれと組み合わせる負極反応の開発に大きな進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題1、2:電荷貯蔵機構解明と非水系キャパシタの構築:活性炭繊維布電極に変えて一般的な合剤使用の活性炭塗布電極を用いて臭素の貯蔵を試みたところ、特定のバインダーの場合に、臭素反応とのミスマッチがあることが明確になった。これらの課題に関しては予定通りの進展であり、当初の計画以上に進展があったのは以下の発見である。 課題3:ハイブリッドキャパシタおよび電池の構築:本課題を狙った非水系における新電解液の開発として、マグネシウムイオン含有臭素系電解液の開発を進めていたところ、課題に挙げたキャパシタ系にとどまらず、大エネルギー貯蔵が可能な、マグネシウム金属溶解析出系、すなわちマグネシウム蓄電池系が構築可能という、計画書レベルをさらに超えた、注目すべき成果が出た。現在、早速機構解明に着手しているが、うまく行けば、蓄電池のパラダイムシフトすら可能な、画期的な成果に繋がる可能性がある。よって、ここでは高い自己点検評価を提案した。
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Strategy for Future Research Activity |
実績概要でも少し触れたように、課題1、2に関しては、特に正極の材料要素の最適化を、従来は補助剤としてそれほど重視をされなかったバインダそして導電助剤も含め、電極システムとして最適化する。このあたりのファクターを押さえたうえで、主役となる活性炭自身の構造、特に最高分布や官能基などの条件設定と充放電特性把握により、最適化を進めることとする。 課題3に関しては26年度に発見した重要な成果であり、臭化マグネシウムを特定の非水系溶媒に溶解させた電解液は、マグネシウムの充放電を可逆化し、かつ正極では臭素のレドックスに基づいた電荷貯蔵が可能になるという、新しい系が展開できた。よって27年度では、この系の機構解明を進め、マグネシウム負極と臭素正極に基づく蓄電池の開発を促進する。マグネシウムイオンと臭化物、溶媒からなる電解液の構造はほとんど未解明なので、27年度は、この解明にも重点を置く。また、大阪大学との共同研究としてのアルミニウム-臭素(あるいは他のハロゲン)蓄電池についても、作動特性向上のための改良をおこなう。
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Causes of Carryover |
成果で示したように、課題3の進展があり、特に電解液の構造を分光学的に解析する必要が生じた。このために高エネルギー研究施設の機器を予約の上、使用する必要が生じた。この測定が予約状況によると、平成27年度の前半から半ばになる見通しで、このための経費と、測定セルの準備が必要になり、その経費は研究計画書作成時には想定しておらず、この経費を26年度の各経費の使用効率化(一部N数の削減など)ですることとし、次年度の前述経費に充てることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由で述べた高エネルギー系で使用する特注測定セルを3個ほど必要としている状況で、この経費に充てる。この経費はもともと27年度に申請している研究費も一部併せて使用することで、購入を可能にする計画である。このセルは、他の類似測定の研究者の実績のあるセルであり、このセルを利用することで本研究計画が確実に推進できる。
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Research Products
(11 results)