2015 Fiscal Year Annual Research Report
金属薄膜・微細ボール表面の最適被覆に着目したマイグレーションの抑制と活用
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26289001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂 真澄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20158918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
燈明 泰成 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374955)
笹川 和彦 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50250676)
趙 旭 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20650790)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属薄膜配線 / はんだボール / エレクトロマイグレーション / ストレスマイグレーション / 金属マイクロ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は前年度の実績のさらなる充実を目指した上で、以下の項目の研究を実施した。 1.しきい電流密度の存否についての検討 ビア接続配線およびパッド付きの配線を対象とした原子濃度分布形成の数値シミュレーションを実施した。これによりパッド付き配線の場合にはビア接続配線と異なり、原子濃度分布が定常状態に達することはなく、保護膜被覆下あるいはパッド露出下のエレクトロマイグレーション(EM)損傷の臨界原子濃度に達し、損傷の発生に至ることが確かめられた。また温度と保護膜厚さに着目したしきい電流密度評価に関する数値シミュレーションならびに実験を踏まえEM抑制の指針を提案した。その他、異種金属細線系の通電溶融現象を支配する因子の特定に成功した。 2.はんだボールにおけるEMの抑制 アンダーフィル材で被覆されたはんだボールにおけるEM抑制効果の評価指針を検討し、アンダーフィル材をはんだの保護膜とした試験片作製法およびEM評価手法を整備した。 3.EMによる創製材料への高機能性および規則性の付与 マイクロ構造体の生産性向上を試み導電性保護膜を有したAl配線をSiウェハへ埋め込み、アレイ構造に適用することで、マイクロ構造体創製に必要な電流量の大幅な削減に成功した。またこれまでに創製したマイクロ構造体は基板に対して垂直であったが、新たにマイクロ構造体を基板に対して水平方向に創製することに成功した。 4.ストレスマイグレーション(SM)による金属マイクロ材料創製の展開と特性評価 脆性人工保護膜TiNが薄い場合(2nm)、SMにより銀微細粒子が創製された一方、TiN膜が厚い場合(600nm)、直径1-2μm、長さが約680μmの長い銀微細ワイヤを創製することに成功した。なお銀微細ワイヤの電気特性についてその評価を試みたが、確信を伴ったデータの取得にはさらなる検討を要する状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載の通り、申請時に計画した研究を遂行し、ビア接続配線とパッド付き配線におけるEM損傷発生の違い、ならびにしきい電流密度に対する保護膜厚さおよび動作温度の影響を深く追求した。またEMによるマイクロ構造体創製を発展させると共に、アンダーフィルとはんだボールの組合せをシステムとして扱ったEM抑制の基盤構築ができた。さらに脆性人工保護膜厚さの違いにより、SMにより創製されるマイクロ材料の形態が変化することを見出すなど、順調に実績を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載の計画の通り、研究を推進する。 平成28年度は、はんだボールを対象とした研究実績の概要の2.に記載の内容の研究を発展させると共に、研究実績の概要の4.を発展させSMによるマイクロ材料創製の高度化基盤を構築する。そしてマイグレーションの抑制/活用のための最適被覆の指針を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度実施のEM・SMによる材料創製の研究を、主として物品費について効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度請求額と合せて、平成28年度に計画している、特にはんだボールにおけるEM抑制実験に要する費用として使用する予定である。
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Research Products
(25 results)