2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26289003
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
古口 日出男 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90143693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 貴彦 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00467945)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 圧電接合体 / 特異電気変位場 / 特異応力場 / 界面 / センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究成果は,以下の通りである. 1.圧電接合体の試験片作成 初年度はセンサの構造を模擬した圧電接合体を試作した。頭初の計画では,試験片の材料から開発する予定であったが,現状の圧電材料を用いた場合,センサとしての性能が望めるのか調べるため,既存材料による接合体の製作を行った.その結果,よい応答を得ることが出来なかった.調べた結果,接合時に180度程度に加熱して,接合体を製作するのであるが,圧電材のキュリー温度以上に加熱すると圧電特性が消失することが判明した.キュリー温度が260度の圧電材料で作ると,応答が確認できた.従って,今後は接合体作成時の温度と圧電材のキュリー温度を考えながら圧電試験片を作ることとした. 2.デジタル相関法による電気変位分布の計測 1で述べたように圧電接合体の試作に時間がかかったため,次年度に接合界面端近傍の電気変位の分布をプローブ顕微鏡で計測することとした.そのための拡張ユニットを購入し,準備を行った.プローブ顕微鏡の試料台に載せることができる試験片の重量は15g以下である.軽量小型で外力をかけることが出来る,接合試験片および治具を設計し,外注した. 3.三次元圧電接合体の解析 圧電性都合体の界面端の特異応力場の強さが大きいほど,センサー性能が高いと考えられる.高性能のセンサーを開発するためには,接合体の界面端形状と材料特性の関係を明らかにしておくことが重要である.そのため本研究では数値解析により圧電接合体の特異応力場の強さを求める手法を開発した.従来の研究では,三次元界面端の電気変位場および応力場を精度良く求めるためには,小さい要素分割が必要とされたが,ここで開発した解析手法では有限要素法の粗い要素分割でも高精度な解析が可能な方法である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧電接合体をセンサーに応用する研究は,初めての試みであることから試行錯誤は想定内である.頭初の計画では,圧電材料の開発もあったが,様々な知見の蓄積が必要であることから,今回は圧電材料は市販品を用いることとした.そのため,目的であった圧電接合体の特異場を利用したセンサー開発は,とりあえず進めることができている. 接合体の界面端における電気変位の特異場の計測は,購入したKelvin顕微鏡を用いて可能であると考えている.これにより特異場の大きさおよび強さを計測する.また,これまで三次元圧電接合体の様々な特性を変えて解析することは困難であった.すなわち,材料の異方性,圧電材と等方性材(接着材:絶縁材)の条件を同時に考慮した解析は困難であったが,これが可能になったことは大きい成果である.高い性能のセンサーを作成する上で事前調査によりセンサー形状,材料特性の組み合わせなどを明らかにすることができる. 以上のことから(2)の概ね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,キュリー温度が高い圧電材料を見いだして欠陥のない接合界面の作成を行うことが重要であると考えられる.そのため繰り返し接合体の試作を行い,最適条件を決定する.現在のところ圧電接合体に静荷重のみを加えて実験を行っている.理論的にはそれで十分強い特異電気変位場を作ることができる.今後は,静荷重だけではなく交流電圧の印加によりセンサーの感度向上を考えている.更に,電場の空間的広がりを調べる必要があるため,有限要素法による電磁場解析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
研究目的である圧電接合体のセンサーへの応用の可能性を探るために,幾つかの圧電材の接合体を作成した.その結果,最近になり圧電材のキュリー点が接合体を作成する加熱圧着過程の加熱温度の上限を決めることが分かってきた.そのため,常温接合あるいはキュリー点の高い圧電材を探す必要が生じた.そのため,圧電材のキュリー点のデータを調べた上で,接合体を作成することとした.このため接合体の作成を慎重に行っている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,昨年度の結果を受けて,キュリー点の高い圧電材料を購入し,様々な形状寸法の接合体を作成する予定である.このための経費および微小電圧計,微小電流計を購入する経費として使用する.また,昨年度購入したKelvin顕微鏡による圧電接合体の電気変位場の同定のための加圧治具の作成に使用する.さらに,接合体の電気的特異場周辺の電場計測および解析のための装置とソフトウェアを購入する.
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Research Products
(7 results)