2014 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ナノ結晶ダイヤモンド工具を用いた電磁場での単結晶シリコンの超精密切削
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26289021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40323042)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超精密切削 / シリコン / 硬脆材料 / ダイヤモンド工具 / 光電効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,車載ナイトビジョン装置や夜間防犯カメラ,顕微サーモグラフィーなどの赤外線光学デバイスの開発において必要不可欠である単結晶シリコンレンズの超精密加工を実現するために,導電性をもつナノ結晶ダイヤモンド切削工具を使用し,シリコンへ特定波長の光照射と電磁場印加を行った超精密切削法を提案した.シリコン工作物からダイヤモンド工具へ微弱な電流を発生させることによりダイヤモンド工具のバックボンド電子の損失を完全に防ぎ,ダイヤモンド工具寿命を向上させることを目的としている. 平成26年度では,主に電磁場での超精密切削加工・センシングシステムの構築および工具設計製作を行った.具体的には,以下の項目について研究開発を行った. (1)加工システムの構築:3軸同時制御超精密加工機の主軸端部に,工作物を囲むように複数の電磁石を配置し,磁束密度が可変な磁場を発生させた.また,Siに吸収されやすく,エネルギー変換効率も高い波長領域のLED光源を設置し,異なる方向からSi工作物へ照射可能にした. (2)センシングシステムの構築:切削抵抗および工具・工作物間の電流を高精度に検出するため,切削抵抗は簡易型水晶圧電センサー,電流はデジタルマルチメーターを用いて測定を行うことにした. (3)導電性ナノ結晶ダイヤモンドバイトの設計・製作:連携企業より導電性をもつナノ結晶ダイヤモンド切削工具材料を提供してもらい,Si切削に適したバイト形状(すくい角,逃げ角,ノーズ半径,刃物角など)を設計し,工具メーカーの協力を得て工具製作を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では,計画の通りに電磁場での超精密切削加工・センシングシステムの構築および工具設計製作を行い,切削実験を行えるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度でも計画の通りに研究を推進し,主に磁束密度解析と電流発生の実験確認を行い,工具摩耗形態の実験的解明を進める予定である.
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Causes of Carryover |
電磁場発生装置を超精密加工機への取り付けのための加工機本体改造について連携企業のご協力により改造費用が発生しなかった.また,超精密非接触三次元測定装置については中古品を購入したため,費用の大幅な節約が可能となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度では,前年度に節約した研究費を切削温度計測用の高性能センサーの購入やCNPD切削工具の材料費などへ有効に使用する予定である.
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Research Products
(7 results)