2015 Fiscal Year Annual Research Report
切削力フィードバックによる能動切込制御型マイクロ・ナノ切削加工システムの実証研究
Project/Area Number |
26289022
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
芦田 極 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 研究グループ長 (10356363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 昇 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30239660)
小倉 一朗 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 主任研究員 (60356714)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 切削加工 / 硬脆材料 / 延性モード切削 / 加工力制御 / 光てこ / ダイヤモンド工具 / 臨界切込み深さ |
Outline of Annual Research Achievements |
ガラスや単結晶シリコンなどの硬脆材料に対して、脆性破壊を伴わない延性モード切削を切込み深さ3ミクロンを超える領域で実現可能な条件を見出し、そのメカニズムの解明に取り組んでいる。ここで用いる切削加工システムの特長は、一般に高剛性を要求される工具ホルダを含めた工作機械システムに対して、工具ホルダ部分のみの剛性を低くし、弾性変形しやすい柔軟なカンチレバー構造を採用している点である。さらに、この弾性変形から工具切れ刃に作用する加工力をフィードバック制御することで目的とする切込み深さで切削加工を行なう。 昨年度に行った切削加工および材料内部の応力観察実験から、工具とワークをつなぐ工作機械構成要素の総合的な機構剛性によって工具接触点における内部応力が変化し、その結果弾性的な要素がワーク内部に生じる最大引張応力を低減している可能性が見えてきた。しかしながら、工具ホルダ部の剛性を変化させると、ステージなど他の構成要素との剛性バランスが変化し、主たる支配因子の特定が難しくなることが明らかになった。そのため、機構設計の最適解を見出すことができず、従来の装置を改良しながらの加工実験を重ねることとなった。 工作機械のコンプライアンス設計が本テーマの鍵であり、工具ホルダ部の剛性設計と切削加工時に生じる材料内部との相関を正しく把握することが重要である。このメカニズムを解明するためには、工作機械の機構剛性を把握・調整できる機構設計が必要となる。次年度では、これまでに選定した基本要素を用いて適切なステージ及びスピンドル機構を構築し、より詳細なメカニズム解明と行なうと共に、本技術のアプリケーション開発に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存の実験装置を用いて工具ホルダ部の剛性を変化させた切削加工実験を重ね、材料内部に生じる内部応力を観察することで、機構剛性と最大引張応力の関係を調査してきた。しかしながら、工具とワークをつなぐ機構全体の剛性バランスとその相関を十分に把握できず、本年度の課題としていた新しい実験装置の設計が進まない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な構成要素の選定は済んでおり、それらを結合するベースおよびコラムの剛性設計を最適化し、ワーク内部の応力観察に対応した切削加工実験システムを構築する。基本機能として直交3軸の駆動機構によるシェーパ型に加え、回転軸により旋盤型を実現できる機能を付加する。また、ここで開発する工具ホルダを一般の工作機械へ搭載した評価を行い、本技術のアプリケーション開発を進める。
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Causes of Carryover |
最も多く支出を見込んでいたステージユニット一式を他の予算で支弁できたため、本予算から支出せずとも計画通りの装置製作が可能な状況になった。予算の有効活用の観点から繰り越し可能な基金分を活用して次年度に先進的な課題を設定し、実験装置に機能を追加する計画とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の発展的テーマとして、マイクロカンチレバー工具を用いた振動援用切削に関する基礎的な検討を進めている。次年度では、この振動援用技術に関する研究を先行的に進め、本研究で開発した柔軟カンチレバー型工具ホルダに加振機能を付加して基礎的な実験に着手する計画である。
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Research Products
(5 results)