2015 Fiscal Year Annual Research Report
微細機能性凹凸パターンを付与したナノ液体膜のトライボ特性とそのメカニズム
Project/Area Number |
26289027
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
張 賀東 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (80345925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三矢 保永 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (10200065)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | トライボロジー / マイクロ・ナノデバイス / 磁気記録 / 薄膜潤滑 |
Outline of Annual Research Achievements |
主として下記を実施した. 1)トライボテスタの高機能化 前年度に構築した顕微鏡に,高輝度短波長の光源および高感度の白黒CCDカメラを搭載し,視野絞りの設置や高精度の光路調整を可能とする工夫などを行った.その結果,固体二面間接触状態を観測する際の画像コントラストを2倍,面内分解能を1.0から0.8μm,すきま分解能を17から13nmに向上した.すきま分解能を1nmとするために,摺動子を半径1mmの半球から曲率半径が大きい平凸レンズに変更する方法を検討して,試作を行った. 2)トライボ特性の測定 高機能化したトライボテスタを用いて,摺動速度をパラメータとして,ナノ厚さ潤滑膜を塗布した磁気ディスクと半径1mmの半球状摺動子との接触面積および凝着力・摩擦力を測定した.その結果,低速領域における薄膜潤滑のメカニズムの構築に十分な定量的な評価が可能となった.また,パターニングしたナノ厚さ潤滑膜について,接触摺動に対する減耗・修復特性に及ぼすパターンの形状・線幅の影響を評価した.耐摩耗性の向上にはパターン線幅の微細化が最も効果的で,修復特性の向上には円周状パターンより放射状パターンのほうが有利であることを明らかにした. 3)分子シミュレーション Transverse DPD法を導入し,拡散係数のような動的特性を精確に再現できる粗視化分子動力学(MD)シミュレーションを確立した.固体表面を垂直方向に変位するばねに接続するプログラムを追加し,一定荷重条件での計算を可能とした.ランダムな表面粗さをもつ固体二面に剪断されるナノ厚さ潤滑膜の粗視化MDシミュレーションを実施した結果,剪断特性に及ぼす潤滑剤分子化学構造の影響を明らかにし,その影響が表面粗さに依存することを見出した.パターニングしたナノ厚さ潤滑膜にも粗視化MDシミュレーションを適用可能とし,修復特性に関して実験と定性的に一致する結果を得た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたように,おおむね交付申請時の計画に応じて進捗しており,結果も得られている.そのため,おおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の計画にしたがって,研究を進める.UV照射パターニングなしのナノ厚さ潤滑膜について,摩擦・凝着・接触状態(固体二面の接触面積とすきま)の計測および粗視化MDシミュレーションを継続して実施するとともに,UV照射パターニングありの場合に重点を置く.最終的には,ナノ厚さ液体膜のトライボ特性とパターン形状・寸法との関係性や,そのメカニズムを明らかにする.
|
Causes of Carryover |
摺動子を半径1mmの半球レンズから曲率半径が大きい平凸レンズに変更すれば,固体二面間すきまを1nmの分解能で測定可能の見通しを得たため,かつ最終年度の研究にはより多くの費用が必要と見込まれたため,今年度では検討していた分光器の導入を控えて,次年度使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
量子化学計算と全原子計算に使用するソフトウェアMaterials Studioの保守費用に主に割り当てる予定である.
|
Research Products
(11 results)