2014 Fiscal Year Annual Research Report
添加剤によって形成された境界潤滑層のイメージングとナノすきま摺動特性の把握
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26289030
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松岡 敬 同志社大学, 理工学部, 教授 (80173813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 朋子 同志社大学, 理工学部, 教授 (00340505)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トライボロジー / 境界潤滑層 / 添加剤 / FM-AFM / 固液界面分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械における摺動表面の多くは潤滑油中に晒されており、潤滑下でのトライボロジー現象を真に理解するには、摺動場における固液界面の状態を正確に把握することが重要である。特に、低摩擦特性を有する摺動界面には添加剤による何らかの境界潤滑層が形成されていると言われているが、その物性および挙動はほとんど明らかになっていない。そこで本申請では、次世代型AFMと呼ばれるFM-AFMをトライボロジーユースに改良・応用し、潤滑下における添加剤境界潤滑層の実画像の取得と形成状態の把握を目指すこととした。また、コロイドプローブAFMおよびディスクオンディスク型ナノすきま摺動試験機を用いて狭いすきまにおける境界潤滑層の力学応答および摺動特性を計測し、最終的に、添加剤境界潤滑層の役割を各観点からまとめることによって、より良い摺動面実現への境界潤滑層の設計指針を提示することを目標とした。 今年度は、FM-AFMを用いて金属表面/潤滑剤界面の断面画像の取得を行った。その結果、銅表面上において、基油のモデルとされるヘキサデカンが物理吸着によって溶媒和層を形成している様子を確認することができた。また、ヘキサデカンに油性剤を混入したところ、数ナノメートルの厚みの境界潤滑層の形成が明瞭に確認できた。さらに、その境界潤滑層はAFMカンチレバーによるスキャンプロセスによって厚く成長することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
基油の物理吸着、油性剤による境界潤滑層の形成を明瞭に捉えることができた。このような添加剤吸着層の断面イメージング像の取得は世界で初めてであると言える。また、カンチレバーによるスキャンによって添加剤吸着層が厚く成長する様子も見られ、境界潤滑層の形成・成長プロセスの解明に繋がる大きな手がかりを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにさまざまな試料油、添加剤を対象として実験を繰り返して行く。また、中性子反射率法や表面力測定法等の他の手法と併用することにより、相補的な検証を試みる。
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Causes of Carryover |
期末の残予算で購入できる必要物品がなかったため、次期に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次期予算と合わせて、消耗品の購入に充てる。
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