2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロファイバーワイヤリングによる血管-神経網の構築
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26289060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根岸 みどり(加藤みどり) 東京大学, 生産技術研究所, 研究員 (30300750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 弘晃 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (30548681)
三浦 重徳 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (70511244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / 再生医療 / 細胞・組織 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究計画は、異なる直径の細胞ファイバー作製法の確立と作成された血管ファイバーと神経ファイバーの機能評価であった。ガラス管と光造形を用いた2重同軸層流マイクロデバイスを用いて、細胞を封入したコアシェル型のゲルファイバーを作製するわけだが、細胞・ECM(コラーゲン)の存在するコア領域の流量・流速とアルギン酸から形成されるシェルの流量・流速を変化させる事で、直径サイズの異なる細胞ファイバーを作製する事に成功した。 神経ファイバーに関しては、細胞ファイバー作製時に神経幹細胞を用いて作製し、数日間培養後分化誘導させる事により作製した。免疫染色、電子顕微鏡観察から作製された神経ファイバーは内部に神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイトを有し、さらに複数のシナプスを介した神経回路を構築している事が確認出来た。 一方血管ファイバーに関しては、HUVEC細胞を用いて血管腔を形成するファイバーを作製した。血管ファイバーに関しては、神経幹細胞ファイバー作製時とは異なり、3軸の層流デバイスを利用した。HUVECファイバー作製後、数日間培養する事でセンチメートルオーダーの血管腔を有するような血管ファイバーの作製に成功した。さらに血管ファイバーの内部を液体が還流出来る管腔構造を構築する事に成功し、作製された血管ファイバーへの因子添加や、線維芽細胞と共培養する事による血管新生を観察する事も確認出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の目的である、「直径の異なる細胞ファイバー作製法の確立」は成功した。 また神経細胞ファバーの形成と血管ファイバーの形成も成功し、これらの細胞ファイバーの基礎データも取得する事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、神経細胞ファイバーに関してその基礎的な形態および機能解析が終了した。一方で、血管ファイバーに関しては、血管腔内部を液体が還流出来る構造を構築出来たが、細胞の極性評価などは不十分である。そこで、翌年度は血管ファイバーに関して詳細な機能解析を行う事を予定している。さらに神経ファイバーと血管ファイバーの共培養系を確立し、お互いの細胞の相互作用を解析する。
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Causes of Carryover |
本年度は、神経細胞ファイバー、血管ファイバーの基本的な形態的、機能的な解析を行ったため、既存の実験設備で行う事が可能となった。また高額予算として購入予定であった3次元画像解析ソフトは、研究室で購入した代価ソフトやフリーのソフトを用いる事で対応出来る事が判明したため、次年度の研究計画にある共培養系の観察・解析に関わる装置を購入する事に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
る共培養系の観察・解析のために、共焦点レーザー顕微鏡に用いる高解像レンズを購入する。また、卓上インキューベーションシステムも購入する予定である。
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