2015 Fiscal Year Annual Research Report
温度可変駆動型高温超伝導誘導同期回転機システムの研究
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26289076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 武恒 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30303861)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 誘導同期回転機 / 同期トルク / 臨界電流 / 温度可変 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、まず10 kW級高温超伝導誘導同期モータの設計を実施した。その際、固定子は銅巻線として、回転子のみ高温超伝導化した。また、同モータの熱負荷を想定した場合の温度変化を熱解析によって検討した。その結果、ケイ素鋼板を使用する場合には、熱拡散時定数が60 s程度(@77 K程度)となることから、現状は可変速時間を当該時定数よりも大きくできる応用機器が対象とされることや、さらなる短時定数化の必要性を示した。 さらに、固定子コアをGM冷凍機によって伝導冷却し、回転子コアをヘリウムガスで冷却する試験システムを構築した。同システムを使用して、ヘリウムガスの有無による回転子コアの温度変化を測定したところ、冷凍機コールドヘッドとの熱交換によって低温となったヘリウムガスによって、回転子コアが有効に冷却されることを実証した。 次に、温度可変が可能なGM冷凍機一体型クライオスタットを設計・試作した。同クライオスタットでは、モータは縦置きとなり、上部に設置予定のブレーキによって負荷を印加することが可能になる。また、冷凍機によって液体窒素再凝縮が可能になり、即ち熱負荷を定量的に把握することが可能になる。さらに、ヘリウムガス冷却も可能であり、つまり冷却方法の相違に伴う温度可変特性を検証することが可能になった。なお、本クライオスタットの下部にはのぞき窓を設置しており、モータの回転の様子を直接観測することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケイ素鋼板を使用するモータの熱拡散を把握することができ、今後の温度可変特性改善のための目標を明らかにすることができた。また、ケイ素鋼板を使用した回転子コアについて、ヘリウムガス冷却可能であることを実験的に明確化できた。 さらに、液体窒素再凝縮若しくはヘリウムガス冷却が可能なGM冷凍機付クライオスタットを設計・制作完了した。本クライオスタットを用いれば、上記した基礎検討結果について、試作モータによって実験的に検証することが出来る。 現状、鉄コア材の熱拡散時定数が長いが、温度可変制御するための応用分野や課題が明らかになりつつあり、今後学会発表や論文発表を積極的に行っていく予定である。以上より、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、H27年度に完成したGM冷凍機付クライオスタットを使用して、冷媒の温度変化を与えた場合のモータ特性を検証していく予定である。 まず、モータケーシングの構造を工夫して、熱拡散率を改善するとともに、確定した最終構造を有するモータを試作する。次に、試作モータについて、温度可変時回転試験(無負荷試験、拘束試験、負荷試験)を実施し、その特性を精査する。 最終的に、具体的な応用機器(輸送機器、電力機器など)について、本研究成果の適用可能性と実現のための課題を明らかにする。 研究成果については、今後学会発表や論文発表を積極的に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも少ない予算で研究成果を上げることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度(最終年度)において、より有意義な研究成果を上げるための実験用消耗品購入費に使用する。
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