2015 Fiscal Year Annual Research Report
パルス大電力により生成した水中微細泡を活用した微生物および菌類の処理法の開発
Project/Area Number |
26289079
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
今田 剛 新潟工科大学, 工学部, 教授 (60262466)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気機器工学 / 環境技術 / パルス大電力 / パルスパワー / 高電圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩水中に設置した電極間(ギャップ長0.25mm)にピーク電圧15kVのパルス大電力を印加した際の微生物の不活化特性を実験的に検討した。なお、塩水の濃度は3mass%である。電極間では1.5kVの電圧を維持し、0.29kAの電流が3.6μs(FWHM)の間、流れた。ピーク値で0.36MWの電力が水中に注入されている。処理対象とした微生物は孵化直後のアルテミアの幼生およびアルテミアの卵である。 1.幼生の不活化 塩水中に約250匹の幼生を投入し、パルス大電力印加の積算回数と不活化率の関係を吟味した。幼生の不活化は、その運動性の有無で判断し、1分間の目視観測にて運動性を示さない個体を不活化したものとした。不活化率はパルス大電力印加の積算回数とともに増大し、400回の印加で90%、800回では98%に達した。不活化に係るエネルギー効率は31万個体/kWhとなった。これは、オゾンを使用する手法と同程度、また、フィルタ等を利用する手法の半分程度に抑えられている。 2.卵の不活化 塩水中に約250個の卵を投入し、パルス大電力印加の積算回数と孵化率の関係を吟味した。パルス大電力を印加しない場合の孵化率は60%程度である(コントロール)。パルス大電力を1回、印加すると孵化率は3%まで急激に低下した。50回では1%となった。不活化に係るエネルギー効率は2.7億個/kWhとなった。 3.幼生と卵の同時不活化 塩水中に約250匹の幼生と約250個の卵を投入し、パルス大電力印加の積算回数と不活化率の関係を吟味した。幼生では800回のパルス大電力印加で不活化率は97%に達し、それ以降は微増し、2000回で100%となった。卵では200回のパルス大電力印加で不活化率は98%に達し、それ以降は微増し、2000回で100%となった。同時処理により卵の不活化が抑制されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高電圧繰り返し電源の納入が2月となったため、当初の研究計画に比べ、当該電源を使用する実験に若干の未実施の部分が生じたが、あと2年間の研究期間内でカバーできる範囲内である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画どおり、菌類の不活化の実証などを中心に研究を進める。
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Causes of Carryover |
旅費の未執行分が次年度使用額が生じた大きな理由である。個々の理由は、成果の発表にて発表会場が近傍で旅費がかからなかったこと、仕様打合せ等において電子メール等の手段により用件を行うことができたことである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究結果の信頼性を向上させるため、パルス大電力を印加しない場合(コントロール)の菌類などの不活化特性の解明を追加する。この実験に使用する消耗品等に次年度使用額分を充当する。
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