2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26289083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10292278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 武仁 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (50206182)
北上 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70250834)
菊池 伸明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80436170)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 磁気記録 / 磁気共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マイクロ波磁場を用いた反転磁場の制御技術として,ナノ磁性体においてマクロスピン予測を超える大きなアシスト効果の発現ならびにその制御手法の開発を目的としている.平成27年度は2年目にあたり,以下項目について重点的に検討した. (1)交換相互作用を制御した積層構造試料の励起状態評価 交換結合制御膜(Pt,Ruなど)を中間層とした積層垂直磁化膜を用いて,交換結合の励起状態に与える影響を評価した.試料は磁気異方性の異なる2つのCo/Pt多層膜をPt,Ruなどを介して積層した構造とした.その結果,2層のCo/Pt層は交換結合定数の正,負に対応した音響モード,光学モードの励起が確認できた.今後は,これら試料をナノドット化し,マイクロ波アシスト効果との相関を調査する予定である. (2)励起状態とマイクロ波アシスト効果の同一試料による測定 これまでの研究から,励起状態とマイクロ波アシスト効果には強い相関があることが分かっているが,同一試料を用いて両者を比較することで,より直接的な議論が可能となることが期待される.我々は異常Hall効果を用いることによりナノドット試料においても非常に高感度に励起状態の評価可能な実験手法を構築し,さらにマイクロ波アシスト実験との直接比較を行った.その結果,ナノドットにおける基本モードとそれに対応したマイクロ波アシスト挙動の相関を実験的に示すことが出来た.今後は,本手法を磁気特性を変調させた積層型ナノドット試料に展開していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
層間結合と励起状態の評価や励起状態の高感度計測手法の立ち上げなどを進めることができ,励起状態制御のために必要な要素技術の立ち上げができた.最終年度での研究に向けて,概ね順調に進展していると自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度にあたり,今年度までに構築した試料作製技術,高感度励起状態評価技術を基に,励起状態の制御とそれに基づくマイクロ波アシスト効果の制御手法の開発を進める.
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Causes of Carryover |
当初計画から基金分を3年分の消耗品費用として考えているため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度にあたり,未使用額は高周波測定部品の購入などに充てる予定である.
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