2014 Fiscal Year Annual Research Report
可変バンドギャップアモルファスカーボン半導体の開発と光電変換デバイスへの応用
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26289089
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本多 謙介 山口大学, 理工学研究科, 教授 (60334314)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アモルファスカーボン / 可変バンドギャップ / 半導体材料 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
<高い半導体特性のp・i・n型可変光学ギャップa-C半導体の開発> 平成26年度は、高効率太陽電池への応用できる、高い半導体特性を示す可変光学ギャップa-C半導体の具現化を図った。 [1] a-Cの光学ギャップ制御技術(制御目標値:1.0~2.5 eV)~平成26年度には、ワイドギャップ化と移動度の高いa-C半導体の開発を集中して行った。①a-CとAlNの混結晶化によるワイドギャップ化では、原料に酢酸アルミニウムを用い、a-C合成時に窒素ガスを添加することで、AlNを添加したa-Cの作成に成功した。Alの添加量は1atom%程度で、光学ギャップは1.8eVとなった。また、②アノードカップリング法によりsp3炭素量が高く、低ギャップかつ明瞭な半導体性を示すa-C半導体の開発を行った。12atom%のSi、1atom%のNを添加することで、光学ギャップ1.2eVのa-C半導体の作成に成功した。 [2]波長フレキシブルa-C半導体のn型導電性制御(キャリア密度制御目標値1013~1021/cm3)~上記の半導体は、キャリア密度1014cm-3のn型半導体として機能することが確認できた。 [3]波長フレキシブルa-C半導体のi型半導体作製(キャリア密度制御目標値:1010/cm3以下)~合成時の排気速度を10倍程度速くし、a-C中への窒素の混入を低減、キャリア密度の低減を図った。光学ギャップ2.5 eV、キャリア密度1.075×1011cm-3のi-型a-C半導体の作成に成功した。 [4]波長フレキシブルa-C半導体のp型導電性制御(キャリア密度制御目標値1013~1021/cm3)~p型不純物として、ホウ素を採用した。ホウ素添加量の向上のため、CVD合成時のアノードーカソード間隔を最少にし、プラズマ密度を向上させることで、光学ギャップ1.8 eV, キャリア密度1.94×1014cm-3、移動度1.722のp型a-C半導体の作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<高い半導体特性のp・i・n型可変光学ギャップa-C半導体の開発> [1] a-Cの光学ギャップ制御技術(制御目標値:1.0~2.5 eV)では、a-CにAlNを添加することで光学ギャップの増大を図ったが、いまだ1.8 eVと低く、目標値内ではあったが上限値付近には達してはいない。 これに対し、[2]波長フレキシブルa-C半導体のn型導電性制御(キャリア密度制御目標値1013~1021/cm3)では、キャリア密度1014cm-3を超えるn型半導体として機能させることができた。また、[3]i型半導体作製(キャリア密度制御目標値:1010/cm3以下)では、光学ギャップ2.5 eでキャリア密度1.075×1011cm-3のi-型a-C半導体の作成に成功している。さらに、[4]波長フレキシブルa-C半導体のp型導電性制御:キャリア密度制御目標値1013~1021/cm3~光学ギャップ1.8 eV, キャリア密度1.94×1014cm-3で移動度1.722のp型a-C半導体の作成に成功している。いずれも目標値内で制御することに成功している。したがって、おおむね研究計画通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
[1] p-i-n太陽電池単セルの開発:各光学ギャップ値における理論変換効率の80%以上 申請者は、n型Si添加a-Cとp型Si結晶を接合したヘテロ接合太陽電池セルを作製、開路電圧0.8V、変換効率0.03%で作動することを確認している。a-C半導体による太陽電池に不可欠な素子化プロセス技術(最適なpin接合技術)を確立し、理論変換効率の80%以上の達成を目指す。 [2] グルコースを選択的に高感度検出可能なセンサーの開発:グルコースの検出限界濃度目標:1μM ①a-C化学組成制御によるグルコース酸化活性向上(高感度化)~a-C中のsp3炭素比上昇によりOHラジカルの生成効率は向上し、グルコース応答電流もsp3炭素比に比例する。a-C構造(sp3炭素比)の最適化によりグルコース酸化活性の向上を図る。②電極幾何構造制御による選択性向上~電極を、2つの作用極が交互に並ぶくし型構造とする。一方の電極に3.6Vの電位印加し、OHラジカルによりグルコースを酸化、他方の電極により夾雑成分の酸化しない電位でグルコース酸化生成物のみを検出(電気化学活性な莢雑成分を除去)。a-C組成とマクロな電極構造の制御によるグルコース酸化活性および選択性向上手法を確立する。
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