2015 Fiscal Year Annual Research Report
PNメモリダイオードの開発と最密配列メモリへの応用
Project/Area Number |
26289099
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
須田 良幸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10226582)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 貴広 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50640942)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 半導体メモリ / 不揮発性メモリ / 抵抗変化型メモリ / PNダイオード / クロスポイント型配列 / SiC / 界面電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は研究代表者が初めて提案実証した、現在の3端子メモリより高密度化が可能な2端子で動作し、且つ、メモリ素子にダイオード特性が要請される理論的に最密なクロスポイント配列が実現可能な、ダイオード特性とメモリ機能を合わせ持つ、新概念の「pnメモリダイオード」について、動作原理の探索と、材料と構造と製造プロセスとメモリ特性との相関の解析と最適化に関する研究を進めた。このpnメモリダイオードの基本型はAu/p-CuOx/SiCyOx/n-SiC/n-Siからなり、pn界面に電子捕獲層SiCyOxが挿入してある。この電子捕獲層での電子有無でメモリ効果が発現する。これまで、SiCyOx(y ≧0、x >0)層はSiC層の熱酸化またはSiO2ターゲットのスパッタで形成し、メモリ効果を実証してきた。また、熱酸化で形成したAlOx層も捕獲層として機能することを示した。重要な構成要素である電子捕獲層のSiOx(y=0)層については、その組成や膜厚を独立に制御することが困難であった。そこで、平成27年度は、SiのリアクティブスパッタでSiOx層を形成する方法を導入し、SiOx層の組成と膜厚を独立に制御し素子化すること進めた。また、SiのリアクティブスパッタでSiNx層を形成する方法も導入し、SiNx層を電子捕獲層として応用することを試みた。リアクティブスパッタ装置を導入し、x値の大きい酸化モードまたは窒化モードと、x値の小さい金属モードに成膜モードが変化するがモードを制御してx値を変化できることが分かり、リアクティブスパッタ膜を用いてメモリ効果の発現することが判った。また、pnメモリダイオードのp型半導体を他のp型酸化物に替えてもメモリ効果が得られること、さらに、トラップ層を同じ導電型の半導体中に形成したときもメモリ効果の得られることが判った。以上、電子捕獲層の系統的評価を可能とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に実施したSiOx電子捕獲層の熱酸化による形成法、および、SiO2ターゲットのArスパッタ法による形成法、および、AlOx電子捕獲層のAl酸化による形成法に加えて、平成27年度の目標は、SiOxとSiNx電子捕獲層について、リィアクティブスパッタ法を導入して形成し、酸化度または窒化度と、捕獲層の膜厚を独立に制御する方法の検討を開始し、材料、組成、製造プロセスとメモリ効果との相関の検討を開始することである。さらに同じ導電型の半導体中に電子捕獲層を配置して、メモリ効果の発現を検討することである。リアクティブスパッタ装置を導入し、x値の大きい酸化モードまたは窒化モードと、x値の小さい金属モードに成膜モードが変化するがモードを制御してx値を変化できることを導いた。さらに、リアクティブスパッタ膜を用いてメモリ効果の発現することを示し、電子捕獲層の組成や膜厚や製造プロセスに依存して、メモリ特性との系統的評価が可能となった。さらに、同導電型の半導体中に電子捕獲層を配置してメモリ効果を取得した。以上によりおおむね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施したSiOx電子捕獲層の熱酸化による形成法、および、SiO2ターゲットのArスパッタ法による形成法、および、AlOx電子捕獲層のAl酸化による形成法に加えて、平成27年度は、SiOx電子捕獲層とSiNx電子捕獲層について、リィアクティブスパッタ法を導入して形成し、酸化度または窒化度と、捕獲層の膜厚を独立に制御する方法の検討を開始し、材料、組成、製造プロセスとメモリ効果との相関を検討した。平成28年度はこのような手法を用いて、本pnメモリダイオードの電子捕獲層の材料、組成、製造プロセスの最適化の検討を継続的に進める。また、相補的にメモリ動作のシミュレーションによる評価も進める。具体的には、SiOx層、SiNx層の組成と膜厚と製造法、AlOx電子捕獲層のメモリ特性への効果を系統的に評価する。さらに、電子捕獲層を同じ導電型の半導体中に形成したときのメモリ特性への効果についても継続的に評価する。クロスポイントメモリアレイ実装のための金属層間のメモリの形成方法を継続実験評価する。これらの結果から、メモリレイヤーの3次元多層化を含む集積回路素子の実用化の視点から、材料、構造、製造プロセスに関して最適な組み合わせを導出する。さらに、小規模メモリアレイを試作して評価を進め、本メモリの集積回路素子(LSI)実用化のための指針を導出し、実用化のための基盤技術を獲得する。
|
Research Products
(4 results)