2015 Fiscal Year Annual Research Report
人工ジャイロ磁気・誘電特性の創出とその電磁波素子への応用
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26289106
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
小寺 敏郎 明星大学, 理工学部, 准教授 (90340603)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工磁性体 / ジャイロ磁気特性 / メタマテリアル / ジャイロ誘電特性 / 非可逆素子 / マイクロ波素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の成果に基づき、27年度は人工ジャイロ磁気特性を生成する進行波共振構造について (1) 特性の可変化、(2) 構造の小型化、(3) 能動素子数を大幅に削減できる構造 の検討を行い、それぞれ実際に構造を考案・試作を行った結果、それぞれの目的を達成できた。 (1)については共振構造の電気長を可変する手段としてバラクタダイオードを装荷したものを構成し、従来の能動素子とは独立にバイアス電圧を印加できる構造を作成し、結果として共振周波数可変な進行波共振構造を実現した。動作周波数を一定とした場合、共振周波数の変化は人工的に創出するジャイロ磁気特性の物性パラメータを変化させることと等価であり、この結果に基づいてジャイロ磁気特性により非可逆性を有し、かつ放射ビーム走査が可能な小型アンテナを開発し、結果をオーストラリアで開催された国際アンテナシンポジウム(ISAP2015)にて発表した (2)については従来の進行波共振構造がトータルで半波長以上の電気長を要し、動作周波数を下げる用途に対しては実装面積の拡大は避けることができない問題があった。これを解決すべく、それぞれに能動素子を装荷した一対の進行波共振構造を単一の能動素子を装荷した8の字型の共振器に改良することで一定の共振周波数に対して実装面積を半減できる方法を開発した。 (3)については(2)に述べた8の字共振器構造が同時に実現する特徴となるが、従来は共振器毎に必要であった能動素子を2個の共振構造で共有することで半減できる構造を考案し、実際にマイクロ波アイソレータに応用した。従来よりも能動素子が少なく、消費電力も低減しつつ特性は従来のものよりも大幅に改善できること結果を得て、これをアメリカで開催されたMETA15という国際会議にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 特性の可変化、(2) 構造の小型化、(3) 能動素子数を大幅に削減できる構造について考案し、非可逆性を有し、かつ放射ビーム走査が可能な小型アンテナならびに大幅に特性が改善されたマイクロ波アイソレータの開発を行い、それぞれ国際会議発表を行うなどの具体的成果を出せているため。
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Strategy for Future Research Activity |
既に能動素子と装荷する可変リアクタンス素子(バラクタダイオード)に対するバイアス電圧を独立制御することで人工的に創出する電子物性を制御できることを確認しているが、今後はさらに制御信号をマイクロコントローラで生成することでプログラミング可能な電子物性を示す人工ジャイロ磁気・誘電体の創出を目指す。これにより従来の均一的な物性制御のみならず空間的・時間的な電磁物性の制御が可能となると考えられ、その特性を応用した新規デバイスの開発・提案も合わせて行う方向で研究を遂行する
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