2014 Fiscal Year Annual Research Report
高屈折率コア/電気光学ポリマー導波路構造の低電圧動作光変調器
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26289108
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横山 士吉 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (00359100)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電気光学ポリマー / 光変調器 / 光導波路 / リング共振器 / スロット / 酸化チタン / 半波長電圧 / ハイブリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、電気光学(EO)ポリマーを用いた光導波路変調器の低電圧動作を実現するため、高屈折率光導波路を応用したハイブリッド導波路を設計・作製し、その高性能な光変調特性を実証することである。本年度は、高屈折率コアにTiO2 を選定し、ハイブリッド型リング共振器や細線導波路を応用した波長スイッチデバイスや光変調器の作製を行った。リング共振器による波長スイッチング特性を解析したところVp-p=1.9Vの電圧動作で3dBのスイッチ特性を得ることができ、デバイスEO係数として96pm/Vを達成した。本成果は高精度な波長スイッチング特性としてOpt.Expressに報告した。また、細線導波路の応用ではTiO2(300nm×300nm)をコアとするEOポリマー光変調特性を作製し、半波長電圧3.2Vを得た。本結果より光変調器導波路をマッハ・ツェンダー型に応用することによって、動作電圧1V台の低電力光変調器の実現を示唆した。本研究成果は新たなハイブリッド光導波路の作製とその低電圧動作としてAppl. Phys. Lett.に報告した。さらに伝搬光とEO ポリマーを強く相互作用させることが可能な、スロット型細線導波路を発案し、デバイス構造の最適化と作製、光変調特性の解析を行った。その結果、デバイスEO係数140pm/Vを達成し半波長電圧が1.6Vの低電圧動作特性を得ることができた。理論的な光モード計算と電界計算による解析から、スロット型光導波路による電気光学特性の増強効果を見出し、デバイス性能の向上に繋げた。本研究成果はScientific Report (Nature publishing group)に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、光変調導波路の低電圧動作を実現するため、TiO2とEOポリマーを融合したハイブリッド型光導波路の作製に注力して研究を進めた。その結果、これまでに得られた半波長電圧(変調動作電圧)4-6Vに対して、大幅な低電圧動作を実証した。特にスロットを応用した光変調導波路では得られたデバイスEO 係数は140pm/Vと高く、本研究目的で目標とした100pm/Vを大きく上回る性能を得ることができた。本結果は、世界的な研究動向と比べても優れており、関連の応用物理・光学系論文誌に採択された。本年度の進展は、次年度以降の光導波路の小型化や広帯域応答を実現する上でも重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、研究目標とするデバイスEO特性の高性能化について基本的な方策を確立した。これまでは基本構造の直線型光導波路を位相変調器として評価してきた。次にマッハ・ツェンダー型光強度変調器へと発展させ、特に電圧制御をプッシュ・プル方式とすることで、半波長電圧を半減させることが期待できる。ハイブリッド光変調導波路の小型化の検討については、リング共振器構造を中心として光導波路構造の最適化と材料検討を平行して進め、例えばTiO2に代わりシリコン光導波路を応用するなどの検討を進める。シリコン導波路はEOポリマーに比べて屈折差が1.5以上あるため、これまでとは異なる導波路設計について検討する。動作帯域の検討については、動作帯域を広げるため電極構造の最適化について研究を進め、マイクロストリップライン電極の組み込みについて検討を行う。具体的には100MHzレベルの比較的低RF応答から1GHz応答を目指し、最終的に10GHz超の広帯域応答を実現するための研究実績を積み上げる。
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Causes of Carryover |
本年度は、ハイブリッド光導波路変調器の低電圧動作に注力して研究を進めてきた。その結果、初年度の検討で大幅な電圧低下を実現できた。次に高周波制御のデバイス特性の解析を進める予定であるが、本年度予算を翌年度と併せて研究設備等に投入した方が、高周波特性解析に関して高度な研究成果が得られると判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ハイブリッド光導波路の高周波制御の評価を進めすため、高周波制御系の装置類を購入する。高周波電源はレンタルによる使用で対応し、デバイス評価の進展に合わせて選定し、使用する。
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Research Products
(28 results)