2015 Fiscal Year Annual Research Report
CMOSペーパークロマトグラフィの創成と超小型バイオセンシング機器への応用展開
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26289111
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宇野 重康 立命館大学, 理工学部, 教授 (40420369)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオセンサー / クロマトグラフィペーパー / 半導体集積回路 / CMOS |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、主にCMOS集積回路とクロマトグラフィーペーパーを用いた流路を統合し、バイオセンシング素子の初号機実現に注力した。具体的には、(a) CMOS集積回路チップ上で電気化学測定を行うためのカーボンインク電極として、昨年度までに開発されたものよりも更に微小電極に適したものに変更し、良好な電気化学測定結果を得た。(b) CMOS集積回路チップ上に取り付け可能な一片4mm以下の微小ペーパー片にシリコーン樹脂をディスペンサーで自動塗布することにより、微小ペーパー流路を再現性よく形成する方法を確立した。(c) 微小ペーパー流路を重ねることで立体的な流路を任意にデザインできるようにし、そこでの3次元的な流路機能を確認した。(d) 積層した微小ペーパー流路をCMOS集積回路チップ上に取り付けることで、フェロシアンおよびフェリシアンの酸化還元電流を測定可能にした。 また、上記の主な成果に加え、次のような成果が得られた: (e)ペーパーイムノクロマトグラフィの原理となるペーパー中での金ナノ粒子濃度をインピーダンス測定法により判別する手法を確立した。(f) CMOS集積回路による電気化学測定を行うためのインピーダンス測定回路を新たに設計試作した。(g) クロマトグラフィーペーパーを基板としたセンサーにおける基礎的な電気化学的特性を網羅的に調査してまとめた。(h) クロマトグラフィーペーパーを基板とした酵素センサーとして呼気中エタノールガスの検出を想定した計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度研究計画において、次の2点に注力することが述べられた: 1. クロマトグラフィーペーパーの電気化学的バイオセンサ応用技術の完成度を高める 2.クロマトグラフィペーパーセンサーの小型化およびCMOS集積回路との統合 前述の研究実績概要において述べられているように、上記のいずれにおいても計画通りの順調な進展が得られている。上記計画が本研究課題の最終目標達成に向けた妥当なマイルストーンであることを考えると、本研究課題の進展はおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られたペーパーCMOS統合センサー試作器の完成度を高めるとともに、これまでに試作されてきたセンサー回路と組み合わせ、具体的な生体関連分子のセンシング実証を行うことにより、本研究課題の最終目標の達成を目指す。 また、その過程で見いだされたクロマトグラフィペーパー内での電気化学現象に関する基礎理解や、ペーパーバイオセンサーの応用展開を学会・論文発表を通して発信する。
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Causes of Carryover |
クロマトグラフィーペーパーに流路形成する際に用いるディスペンサー消耗品額が当初見積もりより少額で済んだため、消耗品費用分を次年度へ持ち越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、流路形成において必要な消耗品費用として使用する。
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