2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本全国を網羅したコンクリートの経年劣化の評価に関する基礎モデルの構築
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26289134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久田 真 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80238295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 浩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10431537)
宮本 慎太郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60709723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 長期的物性 / 曝露試験 / 気象条件 / 中性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート構造物の長寿命が重要視されている中,供用されたコンクリートの物性の変化を把握することは非常に重要である.ここで,過酷環境に曝されるコンクリートの物性に関しては,結果が比較的速やかに得られることや,早期劣化が以前から重要視されていたことから,比較的多くのデータが集まっている.しかしながら,一般的な環境に曝されたコンクリートの長期的な物性の変化に関しては,不明な点が多い.以上を踏まえて,本研究は日本各地の異なる環境にコンクリートを10年間曝露し,それらの物性を評価した. まず,平均気温や平均相対湿度,降水日数とコンクリートの中性化の関係について検討したところ,降水日数とコンクリートの中性化の間に最も強い負の相関が認められた.すなわち,これは降水日数が多いほど,中性化の進行が遅延することを表しており,この理由については,降雨の影響により,コンクリート中の細孔が閉塞され,炭酸ガスの拡散が抑制されたためと考察した. さらには,同環境に曝露した試験体でもコンクリート試験体の曝露上面と底面で中性化の性質が異なる可能性があることを明らかにした.これは,コンクリート上面は,比較的降雨の影響を受けるため,ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属の流出による中性化が支配的である可能性があり,底面では,降雨の影響は上面と比較して小さいため,炭酸ガスの拡散によるセメント水和物の炭酸化による中性化が支配的である可能性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本各地の異なる環境に曝露したコンクリート試験体を用いて,気象条件と中性化の進行に関する影響を確認し,降水日数の影響が最も大きいことを明らかにできた.さらには,同曝露地点においても曝露面によって中性化の性質が異なる可能性があることを突き止めた.これらは,本研究での達成目標の一つである.したがって,本研究はおおむね順調に進行していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,実験的検討と解析的検討の両方面からのアプローチを図る. 実験的検討については,H26年度に行った実験の継続,すなわち,H26年度に実施しきれなかった他の配合のコンクリートの化学分析を実施していく. 解析的検討については,熱力学的相平衡などに基づいた中性化の進行予測などについても検討していく.
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Causes of Carryover |
当初はH27年度からの耐久性試験に使用するため,年度末にコンクリートの練混るため,研究用セメントを購入する予定であったが,コンクリートの配合を見直し再修正することとなった.そのため,コンクリートの練混ぜをH27年度に実施することとし,風化の影響が懸念される研究用セメントの購入についても翌年に持ち越すことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に行うコンクリートの練混ぜに使用する研究用セメントの購入に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)