2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本全国を網羅したコンクリートの経年劣化の評価に関する基礎モデルの構築
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26289134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久田 真 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80238295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 浩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10431537)
宮本 慎太郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60709723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中性化 / 水セメント比 / コンクリート / 曝露環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は,水セメント比が60%とうい粗なコンクリートを用いて,示差熱―熱重量同時分析による炭酸カルシウム量の定量結果とフェノールフタレイン法による中性化深さの測定結果の関係から,コンクリートの曝露環境や同暴露環境における曝露部分の違いが中性化の進行メカニズムに影響を及ぼすことを考察した.しかしながら,前年度に考察した中性化の進行メカニズムが空隙構造等が異なる幅広いコンクリートに適用できるか否かについては不明である. 以上を踏まえて,今年度は,水セメント比が40%,50%のコンクリートについても示差熱―熱重量同時分析とフェノールフタレイン法により炭酸カルシウムの生成量と中性化深さをそれぞれ測定し,これらの関係から中性化深さの進行メカニズムについて考察した.その結果,前年度に報告したとおり,水セメント比が60 %と比較的粗な構造体と考えられるコンクリートについては,特に雨掛かりの多い部分に関して,ポルトランダイトの炭酸化のほかに,ナトリウムやカリウムといったアルカリ金属の溶出が中性化に強い影響を及ぼしていることが推察された.一方で,水セメント比が40 %や50 %のように比較的密なコンクリートの場合には,炭酸カルシウムの生成量と水酸化カルシウムの減少量が,水セメント比60 %のものと比較して1対1に近づくことや,曝露試験開始から10年経過した段階において中性化深さの進行が雨掛かりの影響をほとんど確認できないことから,空隙構造の違いによっても中性化の進行メカニズムは異なる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に得られた結果を受けて,より一般性を持たせられる研究成果を得られたことから,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,中性化以外の塩化物イオン浸透抵抗性や構造の粗密と曝露環境の関係についても検討していく予定である.さらには,中性化の検討で得られた実現象メカニズムについても,さらなる信頼性を高めるため,基礎実験を実施していく予定である.
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