2014 Fiscal Year Annual Research Report
携帯情報端末による車両角速度応答計測と動画撮影を利用した簡易路面性状評価の高度化
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26289141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長山 智則 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80451798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 義信 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362451)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 路面性状評価 / 振動計測 / 状態空間モデル / カルマンフィルター / パラメータ同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは,舗装の管理指標である国際ラフネス指数(IRI)を簡易に推定する車両加速度応答型路面性状調査システム(VIMS)を開発し,開発途上国に展開してきた.しかし,計測機器の堅牢性や汎用性が高くない,車両キャリブレーションが煩雑,IRI以外の路面性状(ひび割れ率など)が評価できないといった課題があり,国内外への展開の障壁となっている.そこで,スマートフォンを採用し,「角速度」応答ベースの新たな車両キャリブレーション法とIRI評価法を構築することで,堅牢性・汎用性・簡便性を大幅に向上させることを目的とした. 加速度応答を利用した路面性状評価では,規定形状のハンプを乗り越える際の車両応答を再現するように非線形QCを同定し車両特性を把握,補正していた.同定パラメータ数が多いが,遺伝的アルゴリズムを用いることで最適化に成功している. 車両の角速度応答を再現するためには,前後の車軸をもつハーフカーモデルが必要である.そこで,ハーフカーモデルを採用して,そのバネ,タイヤの剛性および減衰を同定することとした.加速度と角速度の双方を利用するため,従来の伝達関数ベースのアルゴリズムから,加速度・角速度を観測量とする状態空間モデルを作成し,非線形カルマンフィルターによりパラメター同定を行うアルゴリズムとした. IRI推定アルゴリズムも,従来の相関関係を利用した手法から,線形カルマンフィルタにより路面プロファイルを推定し,定義に従って,IRIを算出する方法に更新した. さらに,国内のテストコースを利用して走行試験を実施し,パラメータ同定およびプロファイル推定の検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キャリブレーション手法の開発およびIRI推定精度の向上については,一部,平成27年度に予定していた,カルマンフィルタを利用したプロファイル推定アルゴリズム開発も取り入れて,実施できた.ハーフカーモデルを採用し,加速度・角速度の双方を利用したキャリブレーション・プロファイル推定の仕組みを構築し,シミュレーション上での検証ができた.実車を利用した走行試験も実施したがその精度検証は引き続き平成27年度に実施していく.
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Strategy for Future Research Activity |
車両パラメータ同定はその精度向上および計算時間の短縮が,実用上不可欠である.パラメータ同定アルゴリズムの変更を含めて検討する. 動画撮影を利用した路面評価については当初スマートフォンによる撮影を予定していたが,スマートフォンの連続撮影可能時間や近年のドライブレコーダの普及を考慮して,ドライブレコーダの利用を検討した.加速度・角速度計測と動画撮影の同期可能性がを調査したところ,スマートフォンとドライブレコーダが同じGPS信号を取得することで互いに同期して計測できることが確認された.今後は動画による路面評価はドライブレコーダを利用することとする. 京都大学大島准教授に平成27年4月に人事異動があり,研究分担者としての活動が困難となった.そこで,平成27年度以降は研究分担者としての活動は継続しないこととした.そこで,大島氏が取り組む予定であった,途上国におけるニーズ把握,走行試験,評価については以下のように対応する.ニーズ把握はこれまでDRIMS技術を展開してきたケニア,タジキスタンの担当者から研究代表者が聞き取り調査をする.海外走行試験・評価については研究代表者の海外調査の中で規模を縮小して行う.
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Causes of Carryover |
比較用計測機器を3セット購入する予定であったが,高精度加速度計が平成27年度に製品化されることがわかったため,2セット分については製品化後に購入するように計画を変更した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
比較用計測用の高精度加速度計を平成27年度に2セット購入予定である.
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Research Products
(2 results)