2014 Fiscal Year Annual Research Report
津波や洪水など橋梁の水害に対する安全性向上対策に関する研究
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26289148
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
伊津野 和行 立命館大学, 理工学部, 教授 (90168328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 周平 福井工業大学, 工学部, 教授 (60511954)
中尾 尚史 独立行政法人土木研究所, 土木研究所(構造物メンテナンス研究センター), 研究員 (50514171)
浅井 光輝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90411230)
里深 好文 立命館大学, 理工学部, 教授 (20215875)
阿部 孝章 独立行政法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 研究員 (10645154)
野阪 克義 立命館大学, 理工学部, 准教授 (50373105)
川崎 佑磨 立命館大学, 理工学部, 助教 (90633222)
野村 泰稔 立命館大学, 理工学部, 任期制講師 (20372667)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 津波 / 洪水 / 橋梁工学 / 数値解析 / 水理実験 / 桁流出 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災における津波による多数の橋梁流出,毎年のように発生する洪水や土石流による落橋など,近年,橋が水の作用により流出する事態が続いており,構造工学分野における水害対策の検討は必須の状況だと考えられる.津波や洪水では水だけではなく,土砂・氷・流木・船など漂流物が流されてきて橋に衝突するが,これら漂流物に対する検討も遅れている.本研究の目的は,洪水や津波などの水害に対する橋梁の安全性向上策を開発することである.この目的を達成するため,(1)災害時における橋梁周辺流れの解明,(2)橋梁に対する漂流物の影響評価の2テーマにしぼって集中的に研究を実施している.初年度である平成26年度は,全体会議を開催して方向性を確認したうえで,研究目的で述べた2つのテーマに関して各要素技術の充実を図った.(1)に関しては,橋梁上部構造に対する水の作用に関する検討を行った.申請者らが従来から使っている小型水路を改良し,新しい水槽を用いた実験を行った.流れの映像を記録するとともに,桁模型に作用する流体力を測定した.数値解析にあたっては,オープンソース・ソフトウェアであるOpenFOAMを利用し,その解析精度について検討を行った.その結果,乱流モデルの適切な設定により,抗力は精度よく求めることができることと,揚力の推定にはまだ課題が多いことがわかった.(2)に関しては,積雪寒冷地河川の水害を想定し,流氷に見立てたウレタンを水とともに流して,トラス橋模型に作用する力を計測した.また,桁が流れる状況を作って,流れる状況を映像で記録するとともに,粒子法を用いた数値シミュレーションによって,流れる状況の再現を試みた.その結果,簡単な矩形断面では桁流出の状況を再現できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究体制の構築が完了し,基礎的な実験が順調に進展している.数値解析に関しても,モデル化に関しては手法の構築が完了した.申請書に書いた初年度の内容について,順調に取り組むことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果を参照しつつ研究を発展させ,2年目終了前に研究全体の進捗状況を全員でチェックする.当初の計画どおりに進んでいない場合の修正や,新たな研究課題への対応などを,この時期に実施して最終年度に向かう.合同ゼミで全体の進捗状況を確認しつつ,共同研究を推進する.災害時における橋梁周辺流れの解明に関しては,桁の移動を考慮した実験および解析を実施する.橋梁に対する漂流物の影響評価に関しては,トラス桁空間の閉塞に関する実験的検討を行う.
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Causes of Carryover |
当初予定していた国際会議での発表を,国際情勢の不安定さを考慮して数件取りやめ,国内学会での発表を多くしたことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際情勢の動きを見つつ,国際会議発表を増やして使用する.また,数値計算の能力が高いPCを導入し,効率的に研究を推進することに充当する.
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