2015 Fiscal Year Annual Research Report
土を利活用した緩衝層の落石衝撃力の伝達メカニズム解明と落石対策工の長寿命化
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26289152
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50271648)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 落石 / 衝撃力 / マルチスケール / マイクロメカニクス / 個別要素法 / 速度依存性 / 緩衝効果 / 回転 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 多層構造,傾斜構造,改良土を含む緩衝層の衝撃応答と構造物の被災メカニズムの解明: 大型,実物大模型実験とDEM解析などを用い,衝撃応答と構造物損傷メカニズムを敷砂緩衝材の載荷速度依存性に着目して調べた. [多層構造の緩衝層]: 砂-砕石-砂の互層緩衝構造に関する模型実験を行った.その結果,互層上層の砂層により落体衝撃力を小さくし,中層の砕石層により落体貫入量が小さくなることがわかった.また,中層の砕石層の影響に着目した実験では中層の変位が広域化していることを明らかにした.さらに,互層下層の砂層により底面に伝達する衝撃応力が小さくなることがわかった.互層は想定内の外力に対して衝撃力を小さくし,想定外力に対して落石貫入量を抑えることでロックシェッドへの直撃を防ぐことができると考えられる. [傾斜を有する緩衝層]: 斜面の表土や崖錐堆積物等の堆積層による落石の運動エネルギー減衰効果を評価した.落石に角速度を与えて落下させる実験や落石を斜方入射させる実験を実施し,DEM解析の妥当性の確認と合理的な解析方法を明らかにした. (2) 表土における落体の跳ね返り挙動の実スケール実験および解析モデルの構築と検証: 斜面勾配の増加に伴い,落石の入射角は線形に増加することが分かった.また,落石の速度比は,斜面勾配に依らず落石の入射角に強く依存し,入射角が大きいほど速度比が小さくなることが明らかとなった.さらに,斜面を堆積層でモデル化した方が,反発係数e=0.01の粒子固定斜面に比べてエネルギー減衰が大きいことが分かった.従って,落石対策工の維持管理の合理化を図るための条件を示した. (3) 落石災害の事例調査・分析による提案被災メカニズムの検証と現行設計法の改善の検討: 自然の堆積土が落石挙動に強い影響を及ぼした事例等の踏査や地盤調査等を行い,再現解析も行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)多層構造,傾斜構造,改良土を含む緩衝層の衝撃応答と構造物の被災メカニズムの解明について: 大型,実物大模型実験とDEM解析などを用い比較を行うことができた.また,以下の項目についても計画通りに実施することができ,新たなメカニズムの発見や工学的提案をすることができた.ここでは,緩衝材から構造物側への伝達する衝撃力を感圧シートの設置とシートの画像解析によって計測する新たな試みも行った.[多層構造の緩衝層]砂と礫など複数種類の土の層を有する緩衝層を用い,衝撃吸収と荷重分散を効果的に制御することを検討.[傾斜を有する緩衝層]落石の層に対する入射角や飛び出し角,伝達衝撃力の制御を検討.落体の貫入痕に着目し,土の衝撃応答の変化を把握 [固化や他の材料との組み合わせ]DEM解析のボンド要素に工夫を加えることで,亀裂進展を表現. (2)表土における落体の跳ね返り挙動の実スケール実験および解析モデルの構築と検証について: 地盤調査データから数値解析のパラメータを決め,落体の形状,質量,速度特性が実験結果の異なる実験結果から,パラメータの決定方法の一次提案を達成した. (3)落石災害の事例調査・分析による提案被災メカニズムの検証と現行設計法の改善の検討について: 数は少ないが,現地調査も含め,事例分析も行うことができた.自然に存在する堆積層の緩衝効果を評価しなければ説明できない事例であり,目標とする地盤力学的特性に着目した現行設計法の見直しや改善に繋げることが可能であることの知見を得た. (4)落石対策と対策工の長寿命化に向けて(土を積極的に利活用した方法とその設計法): 落石対策工の選定と設計方法を提案を視野に入れながら,想定された落石に対して,土層境界部への伝達衝撃力,力積波形,伝達応力分布と土との地盤力学的特徴との関連に集中して検討を行い成果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究成果を基にさらに以下のように検討,検証,改善しながら進める. (1)多層構造,傾斜構造,改良土を含む緩衝層の衝撃応答と構造物の被災メカニズムの解明: 大型,実物大模型実験とDEM解析などを用い,衝撃応答と構造物損傷メカニズムを調べる.[多層構造の緩衝層]砂と礫など複数種類の土の層を有する緩衝層を用い,衝撃吸収と荷重分散を効果的に制御する検討を継続する.[傾斜を有する緩衝層]落石の層に対する入射角や飛び出し角,伝達衝撃力制御を検討する.緩衝層内に初期せん段応力が発生することによる,土の衝撃応答の変化を把握する.[固化や他の材料との組み合わせ] ソイルセメント,ジオシンセティックス,発砲スチロール板を併用した高エネルギー吸収性能を持つ三層緩衝構造が他の研究グループによって提案されている.これらについても,DEM解析モデルを提案する. (2)表土における落体の跳ね返り挙動の実スケール実験および解析モデルの構築と検証: 地盤調査データから数値解析のパラメータを決め,落体の形状,質量,速度特性が実験結果の異なる実験結果から,パラメータの決定方法の提案や計算モデルの修正・改良を継続する. (3)落石災害の事例調査・分析による提案被災メカニズムの検証と現行設計法の改善の検討を継続する. (4)落石対策と対策工の長寿命化に向けて(土を積極的に利活用した方法とその設計法): 実験結果やDEM解析結果を踏まえ,緩衝層に適切な構成モデルを導出し,落石発生から斜面上の挙動,防護工への衝突まで一連の現象を再現可能なように検討する.また,想定された落石に対して,土層境界部への伝達衝撃力,力積波形,伝達応力分布と土との地盤力学的特徴との関連を明確にし,落石対策工の選定と設計方法を提案する.
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Research Products
(17 results)