2014 Fiscal Year Annual Research Report
細粒分の流出による土の微視的な構造変化とマクロな材料劣化メカニズムの解明
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26289153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
肥後 陽介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10444449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木元 小百合 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 内部浸食 |
Outline of Annual Research Achievements |
粗粒分と細粒分を配合した試料を用いた透水実験を行い,試料内部の浸食挙動をマイクロX線CTで可視化した.今年度は,塩ビパイプで作成した簡易透水試験を実施し,透水過程における供試体内部の状態を可視化した.CT撮影はfull CTスキャンとpartial CTスキャンの2とおりを実施する.Full CTスキャンは供試体全体を撮影するもので,解像度は約60μm程度となる.一方,partial CTスキャンでは,供試体の関心領域を拡大し高分解能で撮影する.解像度は10μm程度である.Full CTスキャンから浸食の起こっている箇所を抽出し, Partial CTスキャン画像からは,粗流分の間隙に存在する細粒分がどのように出したのかを微細に観察した.なお,この試験での粒子径配合は,既往の研究を参考にし,不安定条件を満たす配合とする.試料には,3号および8号珪砂を用いる.動水勾配は徐々に増加させた. 今年度はCT画像を取得するにとどまったが,次に以下のような画像解析を実施し,微視構造変化を定量的に評価する. Full CTの画像解析では,内部浸食による密度変化を定量化し,その分布を評価する.具体的には,関心領域の平均密度の定量化を行う.Partial CTの画像解析では,撮影領域を占める粗流分,細粒分,間隙の体積を算定し,局所的間隙比の変化を定量化する.この解析では,骨格構造の変形・強度特性に大きく寄与する粗流分の安定性に着目し,粗流分の間隙空気接触面積の細粒分流出による変化を不安定化の指標として定量化する.実験結果から,以下の項目を議論し,内部浸食の進行的挙動を明らかにする.1)初期構造が内部浸食に与える影響(どの箇所で浸食が発生しやすいか),2)内部浸食の進行過程(どのように浸食が進展するか),3)内部浸食箇所の分布(一様に浸食されるか,選択的に浸食されるか).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では,透水試験結果を得て内部構造変化の解析を今年度中に終える予定であったが,簡易実験を実施するにとどまっている.X線CT装置に不慮の故障が生じ,復旧に時間を要した.その間,X線CT装置なしでも試験が可能な簡易試験装置を作成し予備実験を実施した.このため,本実験装置の作成に当初予定よりも長時間を要したため達成度に遅れがでた.ただし,簡易装置で得た知見は本試験の遂行に役立つため,本試験を予定よりも短期間で実施すると考えられ,次年度遅れを取り戻す事ができる.
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Strategy for Future Research Activity |
細粒土の流出による土の不安定化メカニズムの解明を目的とし,今後は以下の項目について研究を実施する. 1)X線CT画像解析による微視構造変化の定量的評価,2)三軸圧縮試験による内部侵食によるマクロ材料劣化の評価,3)マクロな力学特性変化と微視構造変化の関係の解明,4)せん断力の作用した土の透水試験による細粒分流出挙動とそれによる変形の可視化,5)堤防材料およびメタンハイドレート含有地盤材料における細粒分流出挙動とそれによるマクロな力学特性変化の評価
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Causes of Carryover |
X線CT装置の故障により研究計画に遅れが出たため,本実験装置の作成を次年度に見送った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本実験装置の作成に使用する.
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