2015 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸土砂堆積環境の連続一体調査手法の開発による堆積形成史復元
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26289157
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Research Institution | Port and Airport Research Institute |
Principal Investigator |
渡部 要一 国立研究開発法人港湾空港技術研究所, 地盤研究領域, 領域長 (00371758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々 真志 国立研究開発法人港湾空港技術研究所, 地盤研究領域 動土質研究チーム, チームリーダー (10392979)
中條 壮大 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (20590871)
椋木 俊文 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (30423651)
金子 崇 国立研究開発法人港湾空港技術研究所, 地盤研究領域 土質研究チーム, 研究官 (90649807)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 堆積形成史 / 表面波探査 / サンプリング / 潮間帯 / 潮下帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
河口域の干潟やその周辺の浅海域は,干潟や浅場の海底地形の安定性や底生生物の生態などの研究において注目される地盤環境である.本研究は,干潟・浅場を対象として,安価で信頼性の高い探査・調査手法をパッケージとして提示することにより,地層が複雑な河口付近の地盤の堆積形成史を復元し,地球科学・海岸工学・生態学と地盤工学との学際分野に資することを目的としている.平成27年度は,以下の内容を実施した. (1)人工干潟において,潮間帯において採取した土砂に対する力学試験を行い,干潟を造成した土砂の経時変化を調べた.また,多チャンネル型表面波探査(MASW)によるモニタリングを継続してきた測線に沿って,表層の覆砂厚の分布を調査した. (2)沖縄県の環礁において,潮間帯から潮下帯に至る広いエリアにおいてハイドロフォンを使ったMASWを実施し,サンゴ礫混じり土のような堆積物の地層のみならず,石灰岩からなる硬い岩盤などの多様な地盤に対して,潮下帯での表面波探査の調査方法や得られる結果の特徴,調査手法の適用限界等について検討した. (3)前年度までに得た,ジオフォンを利用して干出時に実施した潮間帯でのMASWの結果とハイドロフォンを利用して冠水時に実施した潮間帯でのMASWの結果とを比較し,さらにはハイドロフォンを利用して水面下で実施した潮下帯でのMASWの結果との連続的な評価とを合わせ,干潟土砂の堆積状況について一体的な評価を試みた. (4)上記(3)については,調査結果に基づいて得られた知見を取りまとめ,論文として投稿した. (5)MASWによる調査結果に基づいて,河口付近の堆積形成史の復元を試み,これを検証した成果について,ジャーナル論文として取りまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した調査内容については,幅広く挑戦的に実施できており,多くの知見が得られている.一部の成果は,査読付き論文として投稿し採択されている.データを取得したまま,論文として取りまとめていない内容も豊富に有しており,引き続き,論文発表による研究成果の候補表に取り組みたいと考えている.合わせて,論文執筆のために,追加の現地調査によって補完しなければならないデータ取得の必要性についても考慮していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
調査の精度向上,調査方法の適用限界,調査結果の解釈,地層構成の異なる地盤への適用などを通じて,研究課題にある「堆積形成史」についての評価に取り組んでいく方針である.
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Causes of Carryover |
調査実施時期と潮汐の関係で,安全に作業することができない(水深がありすぎる)と判断されたエリアでの調査数量分が若干残ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
干潮時の水位が低くなる次年度の夏にかけて実施する予定の潮下帯での調査の中で,繰り越した予算を含めて執行する予定としている.
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