2014 Fiscal Year Annual Research Report
震災による仮設住宅居住者のモビリティと健康に関する研究
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26289176
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
元田 良孝 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (60305331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 誠史 岩手県立大学, 総合政策学部, 助教 (00404830)
山村 修 福井大学, 医学部, 講師 (30436844)
佐々木 一裕 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (60205838)
吉田 樹 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (60457819)
榛沢 和彦 新潟大学, 医歯学系, 講師 (70303120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エコノミークラス症候群 / 血栓症 / 通院 / 交通 / 仮設住宅 / 健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の実績として、①岩手県沿岸各地でのエコノミークラス症候群の検診結果から、居住地区によって血栓症の発見率が異なること、②陸前高田市民を対象としたアンケート調査から移動の困難さと自覚する健康状態に関連があることや、居住地区によって、自覚する健康状態や通院状況が異なるということなどがわかった。 ①について、2014年4月19日と20日に陸前高田市内の8カ所で実施したエコノミークラス症候群の検診結果から、一般的には5%程度と言われる血栓症の発見率が、一番低い場所で2.0%、一番高い場所で20.8%、平均で10.5%であった。このように、地区によって血栓症の起きやすさに差があることがわかる。 ②について、2014年4月に実施した陸前高田市民を対象とした生活行動や交通に関するアンケートの結果から、健康状態が良いと回答している人の2.7%が、悪いと回答している人の10.8%が移動手段に困っていると回答しており、健康状態が悪い人の方が移動手段に困っていることがわかる。また、健康状態を地区別に見たところ、健康状態が良いと回答している人が一番低い割合の地区で13.6%、一番高い割合の地区で37.9%となっている。一方、定期的に通院している割合を見ると、前者は41.9%、後者は63.6%とかなり差があることがわかる。通院状況と健康状態との何らかの関連があるということがわかる。 これらのことから、自覚する健康状態や健康診断による健康状況のいずれも、地区によって違いがあることや、健康状態と移動の困難さ、通院状況に関連があるということがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、「陸前高田市の仮設住宅を事例に、住民のモビリティと健康の関係を調査し、仮設住宅以外の居住者と比較しながらモビリティが健康に与える影響について、一定程度定量的な関係を求めることを目的としている」ということを調書に記入していたが、まずは、その前段として、地区ごとに健康状態や通院状況、モビリティなどがどのようになっているのか、一定程度、把握することができた。 今年度以降の調査に繋がるが、高台に住んでいる人、そうでない人、また、健康に問題のある血栓症のある人、そうでない人をこれまでの調査結果から抽出するためのデータを得ることができた。来年度の調査の対象となる協力者の抽出と依頼も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も昨年度に引き続き、岩手県沿岸各地でエコノミークラス症候群の検診を実施し、地区による血栓症の発見率の違いを見たり、陸前高田市民を対象とした生活行動や交通に関するアンケートも引き続き実施し、震災から4年が過ぎた状態での健康状態や生活活動や移動の状況などを把握する。加えて、高台に住んでいる人、そうでない人、また、健康に問題のある血栓症のある人、そうでない人を抽出して、調査への協力者を募り、携帯回線を利用した通信装置付き(ライフコンバーター、ケルコム社製)自動歩数計や血圧計などで、運動量等をモニタリングや、交通状況を把握して、居住地と交通、運動量、健康の関係を詳細に分析する予定である。
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Causes of Carryover |
現地の都合により検診が予定回数実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の検診で使用する予定である。
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