2015 Fiscal Year Annual Research Report
震災による仮設住宅居住者のモビリティと健康に関する研究
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26289176
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
元田 良孝 岩手県立大学, 総合政策学部, 特任研究員 (60305331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 誠史 岩手県立大学, 総合政策学部, 助教 (00404830)
山村 修 福井大学, 医学部, 講師 (30436844)
佐々木 一裕 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (60205838)
吉田 樹 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (60457819)
榛沢 和彦 新潟大学, 医歯学系, 講師 (70303120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 応急仮設住宅 / 深部静脈血栓症 / 主観的健康状態 / モビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度も前年度に引き続き、岩手県沿岸各地においてエコノミークラス症候群の予防検診を実施し、検診時における問診や採血、超音波などによる深部静脈血栓症の検査結果、生活活動や居住地の違いによる移動状況や健康との関係を調査するためのアンケート調査結果から、以下のような項目について検討を行った。1)全体および各市町の深部静脈血栓症の発症率の推移を見ること、2)地区ごとの血栓症の発症率および主観的健康状態の違いを見ること、3)生活状況の変化とそれにともなう移動実態の変化を見ること、4)移動の困難さと血栓症との関係、主観的健康状態との関係を見ること、5)外出や運動状況と血栓症や主観的健康状態との関係を見ること。 得られた主な結果を以下に示す。1)検診会場の立地する地域によって血栓率が異なり、多いところでは20%超であった。2)移動に困っている人の方が、主観的な健康状態が悪い人が多い。3)しかし、移動の困窮の有無と血栓の有無には差がないと思われる。4)血栓がない群では、より多く外出していたり、歩行時間が長い人が多い。 今後は、血栓症の専門的な検診を被災者がさらに受けやすくできるように、深部静脈血栓症だけでなく、MRI、MRA検査が可能な移動検診車を用いて、脳梗塞の基となる動脈の血栓も見たいと考えている。これによって、特に居住地の立地が原因となる生活環境と健康との関係を深く見たいと考えている。最終年度なので、得られた結論から社会に還元できるような提言を行う。 なお、被験者に配布しているGPSや万歩計、血圧計のデータは最終年度に分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算の大半を3カ年度中の前半2ヵ年度に集中的につけていた。これは、健康関連の調査を集中的に実施して、データを蓄えるためである。そして、当初の想定通り、血栓症の発見率が地区によって異なっている状況が確認でき、その原因もおおよそ理解できたと思われる。最終年度は、より詳細にデータを分析することや必要に応じて追加の調査をおこなうということで、順調という判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた多数の調査データを用いて、これまでに出来ていなかった詳細な分析を行う。例えば、毎年度健康診断を受けた方が、結果がどのように変化したのか、その理由は何かや、各市町の結果の特徴を検討するための分析を行うことなどである。必要に応じて、引き続き岩手県沿岸地域で応急仮設住宅住民の深部静脈血栓症のチェックや交通に関する調査を行う。最終年度であるのでとりまとめを行う。28年4月に発生した熊本地震でも肺塞栓症が広がっていることから、情報収集を行いとりまとめの参考とする予定である。
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Causes of Carryover |
研究の段階で、追加の調査が必要となったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加調査及び、調査データの詳細な分析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)