2014 Fiscal Year Annual Research Report
バイオオーグメンテーション有効化に向けた環境浄化細菌の生残性向上に関する基盤確立
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26289184
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原生動物 / 捕食 / 被食 / ビオラセイン / べん毛虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原生動物による捕食の機構を明らかにすると共に、その回避法を確立し、浄化現場での有効活用を目的としている。本年度は、研究実施計画に挙げた、捕食を低減できる分解細菌の育種の一環として、ビオラセインを合成する遺伝子を取得し、大腸菌内での発現を試みた。 ビオラセインは細菌によって生産される青紫色の天然色素で、抗原生動物活性を有することが知られている。2種類のChromobacterium violaceum、および2種類のJanthinobacterium lividum、それぞれから合計4種類のビオラセイン合成遺伝子群,vioABCDE,をPCR合成し、クローンを取得した。取得の際は,trpプロモーターによって発現するpBR322系のプラスミドpKNA94を利用した。目的のクローンがプラスミド中に組込まれた場合は、宿主である大腸菌の形質転換体のコロニーは生産されたビオラセインによって青紫色を呈した。 4種類中で、非常に濃い青紫色を示した、C. violaceum JCM1249由来の遺伝子により形質転換した大腸菌を使って、6株の単離原生動物による捕食実験を行った。河川水から、鞭毛虫に分類される6株の細菌捕食性原生動物を単離した。それらの内、3株の18S rRNA遺伝子は,環境中で優占的に活動する実績を持つものと同一であった. 捕食は著しく阻害され、合成されたビオラセインに強い抗原生動物活性があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画では以下の3項目を挙げた。 1)「自然界からの原生動物の単離」、2)分子生物学的な解析手法の開発、3)捕食を低減できる分解細菌の探索・育種。これらの項目については、成果を上げて、論文発表を行なった。 加えて、平成27年度の研究計画である、1)捕食を低減できる分解細菌のモニタリング法の確立についても平成26年度の後半には着手し、成果が出始めている。このことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の研究計画に沿って、捕食回避能を備えた分解細菌を育種して、回分実験および連続実験により、バイオオーグメンテーションの有効化に向けた、汚染物質(トリクロロエチレン等)の分解試験による検討を進めたい。 その上で、工学的な課題を整理して、色々なケースに活用できる、より一般性を持った工学的手法を確立していきたい。
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Causes of Carryover |
年度末に購入した物品が、計画より安い値段で購入できたため生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費と合わせて、計画に沿って、速やかに物品購入に利用する。
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Research Products
(1 results)