2014 Fiscal Year Annual Research Report
高発熱機械室の高効率空調設備構築と信頼性評価に関する研究
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26289199
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
羽山 広文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80301935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 太郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70312387)
菊田 弘輝 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20431322)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | データセンタ / 空調設備 / 高効率化 / 省エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
■機器冷却特性を考慮した空調方式 (1)再循環を考慮したIT機器の冷却特性評価: 各部の温度を関連付ける機器冷却モデルから、機器の冷却特性の評価に有効な各部の温度差比、排熱効率、二種類の再循環比(室内再循環比・機器再循環比)を定義し、実大実験からこれらのパラメータを同定する手法を示し、機器の冷却特性を左右する要因を明らかにした。この成果を用い、・機器が許容する吸込み温度条件、・ラック内で生ずる機器再循環を防止する遮蔽パネルの有無、・機器冷却温度差など機器の冷却特性を決定する各種条件が、空調効率(エネルギー消費係数)に与える影響を実在するDCの実測調査を通じ定量的に評価し各種条件の最適範囲を明らかにした。 (2)IT機器の温度情報を活用した空調制御方式の検討: DC内に設置されているIT機器の中から、CPUのタスク・温度・ラックの排気温度情報を収集し、この情報を基にIT機器の適正な動作を保障するのに必要な空調設備の制御方法を検討した。 ■空調設備の信頼性評価 室温変化を考慮した空調設備の信頼性評価: 空調設備の信頼性の尺度として、冷却対象システムの動作が保障できない程に室温が上昇する時間の割合を「空調システムの不稼働率」と定義し、空調機の故障発生後、一定の時間(許容修復時間)およびシステムの故障率、平均修理時間を考慮した不稼働率算出モデルを作成した。また、空調設備の信頼性評価手法を一般化するため、評価対象設備の挙動をマルコフモデルで表現し、各状態の確率を求め、一定時間を超えてその状態にとどまる事象の発生確率等を評価する手法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、IT機器や工作機器を収容した高発機械室の空調設備に関し、機器の発熱を確実に高効率で冷却することを目的に、(1)室内の温熱環境の適正化、(2)空調設備の高効率化、(3)空調設備の信頼性確保の3点を主眼に据え、①機器冷却特性を考慮した空調方式、②冷涼な外気を活用した高効率空調方式、③生産施設への置換換気方式の適用、④空調設備の信頼性評価の4つの課題について、「機器の設計・製造(製造業)」、「サービスの構築・運用(サービス業)」、「空調設備の設計・建設(建設業)」の異なる産業分野にまたがる課題を体系的に整理し、適応範囲、構成基準、その対策と効果を定量的に明らかにし、実用性の高い成果として取り纏めるものである。現在までに以下の項目を完了した。 ■機器冷却特性を考慮した空調方式: ①再循環を考慮したIT機器の冷却特性評価、②IT機器の温度情報を活用した空調制御方式の検討を行い、機器の冷却特性と空調設備の関係を明確にし、機器の要求する吸込み温度条件を満たしながら、最小の空調給気量を実現する方式の計画・設計方法を確立した。 ■空調設備の信頼性評価: ①室温変化を考慮した空調設備の信頼性評価、②複雑な設備構成に対応した信頼性評価を行い、故障パターンごとに室温上昇速度を盛り込んだ解析手法を明確した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討結果を踏まえながら、今後は下記の点を課題として取組む。 ■冷涼な外気を活用した高効率空調方式: ①外気冷房の実用化評価、②気化式加湿器の潜熱冷却効果の分析・評価を行い、高効率化へ向けた運転制御方式を確立するとともに、国内最大級の外気冷房DCの有効性を実証する。 ■生産施設への置換換気方式の適用: ①置換換気される室内の機器排熱が室温分布へ与える影響、②工作機器に排気塔を設けた置換換気方式の評価を行い、IT機器以外の工作機械工場などの生産施設に適用した際の課題と効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
実測および解析が翌年度に繰り延べられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた実測および解析分を加味し翌年度に実施する。
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