2015 Fiscal Year Annual Research Report
延焼拡大過程を考慮した二層ゾーン火災拡大予測モデルの開発
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26289204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 和典 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90198911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大宮 喜文 東京理科大学, 理工学部, 教授 (10287469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 煙流動 / 燃焼性状 / 熱慣性 / 火炎傾斜角 / 天井流 / 反転流 / 巻き込み |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、二層ゾーン煙流動計算モデルの数値的安定性の改善、材料の燃焼性状のモデル化に必要な測定方法の検討、壁際火炎の傾斜角のモデル化、天井流の壁面との衝突時の反転流について、検討を行った。 二層ゾーン煙流動計算モデルの数値的安定性の改善に関しては、燃料支配から換気支配へと移行する際の正規化燃料空気比の計算アルゴリズムを改め、数値的発散の可能性を低減した。 材料の燃焼性状のモデル化に必要な測定方法については、主としてコーンカロリメータによる着火時間測定を検討した。材料の熱慣性を着火時間および着火温度の測定値から半無限体近似の下で求めるために必要な試験体の厚さを検討した。その結果、一般的な合板では9mm以上の厚さが必要となることを示した。また、壁での使用を想定して試験体を鉛直に設置して加熱する場合は、口火位置が問題となる。これに関しては、ISO 5660 付属書に記載の口火位置ではなく、試験体上端と同じ高さで試験体表面から水平に1/4インチ離れた位置にすると最も早く着火し、再現性もあるので、着火時間の測定方法として妥当であることを示した。 壁際火炎の傾斜角に関しては、燃焼物へ流入する気流の水平方向運動量の釣合いから傾斜角を求めるモデルを提案した。壁際での可燃物の燃焼実験と比較した結果、既往の予測式よりも予測精度が改善することを示した。 天井流の壁面との衝突時の反転流については、実大天井を設置して実験を実施した。実大天井面下に1面あるいは垂直に組み合わせた2面の壁を壁面形状として設定し、反転流の温度性状や厚さ、炭酸ガス濃度の測定を行い、反転流形成時の天井流の温度性状および空気の巻き込み性状をモデル化した。これを用いて、煙層が形成される時間を考慮した煙層降下時間の予測式を作成して実験結果と比較し、火災初期の煙層下端高さの予測が大幅に改善できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
煙流動プログラムに関しては、数値的安定性が増したので、新たなモデルを組み込む環境が整い、燃え拡がりモデルの導入作業を進めている。その他のサブモデルについても、重要度の高いものから順次検討を行っている。天井流の壁面との衝突時の反転流については、モデル化が完了したのでプログラムへの組み込みに着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初計画通りに研究を進める。燃焼モデルの組み込みについては、さらに検証実験を追加した上で、モデル化の細部を詰める。天井流の壁面との衝突時の反転流については、これまでの結果を精査して、必要であれば実験条件を追加する。反転流性状を加えた煙流動予測モデルを構築し、既往実験とのさらなる比較とケーススタディ等を行う。
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Causes of Carryover |
延焼モデルに関しては、材料試験片を用いた小規模実験による燃焼性状のモデリングに労力をかけた。そのため、結果的に中規模実験の実施回数が少なくなり、研究経費としては予定よりも執行額が少なくなった。ただし、所期の目標に対しての進捗には問題はない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に中規模実験の実施が少なかったが、これを次年度に実施し、小規模実験によるモデリングと併せて、区画内における燃焼速度および燃え拡がり速度拡大のサブモデルを検証する。
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Research Products
(27 results)