2015 Fiscal Year Annual Research Report
環境条件を考慮した木造躯体の劣化メカニズム解明に関する研究
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26289206
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Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 宏昭 足利工業大学, 工学部, 准教授 (20597827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 拓郎 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (00335225)
堀澤 栄 高知工科大学, 工学部, 准教授 (20368856)
小椋 大輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283868)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 木材腐朽 / 熱水分 / 劣化 / 住宅 / 外皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
木造躯体の劣化メカニズムの把握と予測モデル開発のため、捕集した雨水を噴霧した木片を、実際の住宅の温度環境下に暴露し、腐朽プロセスを再現する実験を昨年度より着手した。今年度は木片の腐朽が進行し、以下の結果が得られた。 1)雨水とともに腐朽菌やその他の雑菌が混入した場合でも、条件が良ければ無菌的に単一の菌を接種した試料と同等の腐朽速度が得られることが示唆された。2)通常は腐朽進行を阻害するとされているカビの菌糸が蔓延した試料でも、単一の菌を接種した試料に対し、2割程度の速度で腐朽の進行が確認された。3)温度変動が伴う条件下で、既往の予測モデルによる推定値と実験値の比較を行い、予測精度とモデルの改善点を確認した。4)遺伝子解析により試料へ付着した腐朽菌及び雑菌の種を同定した。
上述した結果により、既往の腐朽進行予測モデルの精度や信頼性に関する知見が得られた。また、雑菌の影響を予測モデルで考慮するための基礎データが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験着手当初は、雨水を利用した木材の劣化状況の定量的把握に2年程度要することが危惧されていたが、実験開始6ヶ月以降は腐朽が順調に検出され、予想以上の知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、実際の躯体内で想定される菌類の遷移(雑菌の影響)や温度変動が再現された際の、腐朽速度や付着菌に関するデータを得ることが出来た。今後は本知見を裏付けるための、①付着菌の単離培養による腐朽速度の確認、②カビなどの雑菌による影響の定量化、等に関する追加実験を行う。また、予測モデルの改善や今回得られたデータをモデルに反映するための検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験自体の進捗は順調であるが、目視上カビが卓越した試料でも腐朽現象が検出されたため、検証を行うこととなった。結果として、サンプリングスケジュールの変更と実験期間延長により、単離菌の腐朽実験や菌のDNA解析が遅れ、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述した検証のための単離菌の腐朽実験や、菌のDNA解析等に使用する。
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